被災した人なら住民以外でも
災害救助法で医療を受けられる

 今回の地震は元日に発生しており、帰省先の実家で被害に遭った人も多かった。だが、避難所や救護所では、そこで暮らしている住民以外の人も、被災した人は誰でも平等に医療を受けることができる。

 災害救助法の「医療・助産」の対象になっているのは、「災害で医療・助産の途を失った者」と規定されている。災害救助法は、平等を原則としており、救助を必要とするすべての被災者に対して、どのような事情があっても、平等に手を差し伸べることになっている。

 住民はもちろんのこと、帰省や旅行などで、たまたまその土地を訪れていた人も救護の対象だ。経済的な要件も問われないので、経済的に余裕のある高所得層も、お金のない人も、無料で必要な医療を受けられる。

 救護の内容は、災害によって病気やケガをした人に加えて、災害とは直接関係なくても、災害によって医療を受ける手段が閉ざされた人には、平等に医療が提供される。たとえば、災害前から高血圧症や心疾患などの持病がある人が、薬を持ち出せないまま避難した場合に、救護班から必要な薬を処方してもらうことも可能だ。

 ただし、災害救助法による医療は、災害による地域医療の混乱を、一時的に埋めるのが目的だ。必要な医療は受けられるが、あくまでも応急的なもので、災害時にあえて治療しなくてもよいものは対象にならないので、その点は注意しよう。

 救助期間は、原則的に災害の発生日から14日間だが、災害の混乱が続く場合は適宜延長される。

 今回の地震で大きな被害を受けた石川県の能登地方は、連日、厳しい寒さに見舞われている。国が用意したホテルや旅館などの宿泊施設に、二次避難する選択をした人もいるが、避難所や車中泊での避難生活を続けている人も多い。

 慣れない避難生活では、体調不良に加えて、精神面での不調をきたす人も多くなる。救護班のなかには、DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)など、精神医療や精神福祉の専門家で組織された災害医療チームもいる。体と心に少しでも不安を覚えたら、医療費のことは心配しないで、彼らに頼ってほしいと思う。