「身ぶり手ぶりのパフォーマンス」と
弁護側への批判の声も

 11月6日の第16回公判では検察側が中間論告で、妄想から筋違いの恨みを募らせ犯行を決意したと主張。他責的、攻撃的な性格が事件に結び付いたとし、放火を躊躇したのは「物事の善悪を区別できていた」と完全責任能力を問えるとした。

 一方、弁護側は中間弁論で医師の意見を踏まえ「被告には重度の妄想性障害があり、妄想世界での体験や怒りで善悪の区別や行動を制御できなくなった」などとし、完全責任能力は問えないと反論した。

 同27日の第17回公判の被告人質問では、事件を振り返り「後悔が山ほどある」「あまりにも浅はかだった」と述べた。小説の盗用について医師が「妄想」と判断したことに「自信がなくなった。事実ではなかったかもしれない」とうなだれた。

 同29日の第18回公判では犠牲者の遺族が意見陳述で「悪魔の所業としか思えない」「命をもって償ってほしい」などと厳しい言葉が並んだ。一方で、法廷での被告の言動から「謝罪や反省を求めるのは不可能だと理解できた」と諦めの声も聞かれた。

 同30日の第19回公判でも遺族の意見陳述が続き、裁判員に「罪に対して正しい判断をお願いします」と訴えた。また弁護人の言動が「身ぶり手ぶりのパフォーマンスのようで傷ついた」と涙ながらに語る人も。遺族の一人は「こんなに幼稚で独りよがりな男の勝手な思い込みでたくさんの命が奪われた」と憤った。

 12月4日の第20回公判では、生存者が「友達が炎に包まれた瞬間が目に焼き付いて離れない」「遺族に合わせる顔がない」と声を振り絞った。

 同6日の第21回公判では、遺族から「反省していますか」の問いかけに、第8回公判に続き「しています」「申し訳ございません」と改めて謝罪した。また「償うには最も重い刑しかない」「極刑を求める」との声に「それで償うべきだと思う」と振り返った。