ピクミンのCMソングについては、ちょっとここには権利関係の問題で書かない方が無難ゆえ、詳しくは割愛させてもらうが、ピクミンのよく働くけど時に捕食されることもある悲哀が歌われていて、これが歯車的な滅私奉公を当たり前のように要求されてきた当時のサラリーマン像に重なる部分があって、広い世代から支持された。
ゲーム内容は一風変わっていて、ピクミンに物を回収させるのが目的である。ささいな謎を解きながらマップを隅々まで探索し未知と出会っていく冒険のワクワクがまずあって、それらを効率よく進めていこうとすると(ゲーム内では「ダンドリ」と呼ばれる)、頭を使ったさらに刺激的なアクションゲームとなる。
「なぜ面白いのに売れないか?」
任天堂が心血を注いだ認知向上策
任天堂公式サイトの開発秘話によると、ピクミンシリーズ1作目でプロデューサーを務め、ピクミンの開発に携わってきた宮本茂氏(マリオシリーズやゼルダの伝説シリーズの生みの親でもある)は、ピクミンシリーズの1~3について「なぜこんなに面白いのに売れないのか」と悩み、チームで検討と試行錯誤を重ねて、幅広い層に楽しんでもらえる『ピクミン4』のゲーム性が完成したそうである。
https://www.nintendo.co.jp/interview/ampya/02.html
任天堂がピクミンシリーズの開発と並行して取り組んできたのが、ピクミンというキャラの認知向上である。2014年にWii Uで有料配信された短編アニメでは、我々の日常の中にピクミンが描かれた。また、2021年にリリースされたスマホアプリ『Pikmin Bloom』では、AR(拡張現実)技術を用いつつ「歩くとピクミンが育つ」というシンプルかつ平和なゲーム性がウケて、女性を中心とした新たなファン層を開拓した。
また、最近ではオリジナルグッズやコラボ商品、広告展開がさかんに行われている。筆者が電車に乗った際、モニター広告でピクミンの短いクイズ動画が流れているのを発見して「ピクミンが有名になった」と感慨深かったのだが、あれは「ピクミンを有名にするための任天堂の施策」のひとつだったようである。
あくまで筆者の感想だが、ピクミンはとにかくグッズが素晴らしく、ピクミン自身のかわいさもさることながらデザインに北欧風テイストが取り入れられるなどして洒落ている。筆者はピクミンの一輪挿しの花瓶がものすごく欲しかったのだが、うちでは花を飾る習慣がないため自重し、リビングに壁掛け時計を導入することでいったん落ち着いていた。なお、ピクミングッズに関しては筆者より妻の方により深く刺さっている印象である。