身の回りでも、ピクミンが流行っているのを強く感じる。娘の保育園のクラスでは「ピクミンごっこ」というのが行われるらしいし、先日すれ違った小学生男子はピクミンについて熱っぽく話していたし、娘がスーパーにオッチン(ピクミンに登場する宇宙犬)のぬいぐるみ(当時品薄で若干プレミアがついていた)を持っていったら、推定5~10歳の男子数人がオッチンに大興奮して殺到する一幕もあった。

 かくしてピクミンは人気を博し、大人から子どもにまで愛されるコンテンツとなったのである。

ピクミン・すみっコ・ちいかわに
共通する「ある魅力」とは

 ピクミンのかわいさを言葉で正確に説明するのは難しいが、その「かわいさ」の中に「はかなさ」や「健気さ」の要素が強く含まれていることは間違いない。何しろ一匹一匹は非力で弱いのに、なんでも言うことを聞くし一生懸命なのである。

 長らく大ヒット中の『すみっコぐらし』は成人女性にも愛されているが、低年齢層での席巻ぶりが顕著で、いまや小学生女子の間では「私はすみっコ関連グッズを〇個持っている」というマウントに用いられるまでの存在となった(らしい)。特徴的なのは、キャラたちが皆それぞれひっそりと陰の部分を備えている点である。たとえば「しろくま」は寒がりで、「あったかいお茶をすみっこでのんでるときがおちつく」という設定である。

 Twitter(現X)発、現在大人気真っ只中で、日本キャラクター大賞2022年のグランプリを獲得した『ちいかわ』は、ちいかわたち主要キャラが過ごす日常を描写したものである。主人公の「ちいかわ」は優しい、臆病、泣き虫、口下手といった性格で、思わず寄り添って応援したくなるようなキャラである。

 この「応援したくなる」要素を、すみっコ、ちいかわ、ピクミンは共通して有している。そしてこれが、令和に見られる特徴的な傾向であるように思われる。

 筆者が子どもの頃、女子の間で人気のキャラと言えば、もっぱらサンリオやディズニーで、とにかく「かわいいもの」が順当に人気を集めていた印象がある。やがてサンエックスが台頭し、1998年に登場したたれぱんだ、2003年のリラックマでは、どこか抜けたところのあるかわいさが人気を集め、その系譜を引き継いだ2012年のすみっコぐらしでは、さらにそこに「応援したくなる」要素が追加された。