多くの人が『人との対話』に苦手意識を抱いている。できればすべてメールですませたいという人すら。残念ながら「人と話すこと」をゼロにはできない。仕事となればなおさら。いったいどうやって克服すればよいのだろう。
答えは実はシンプル、あなたの発するひと言を変えるだけだ。周囲を緊張させたり、気持ちを萎えさせたりするNGな言葉から、その場の空気をあたたかくするひと言、自然な会話を生む言葉へと切り替えてみよう。
そこでいま話題を呼んでいるのが、3万人に「人と話すとき」の対話術を指導してきた人気ファシリテーション塾塾長の中島崇学氏の著書『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言――打ち合わせ、会議、面談、勉強会、雑談でも使える43のフレーズ』だ。今回は、同書から特別に抜粋。対話の締めくくりに使えるを問いかけのテクニックを紹介する。
最後にやらされ感を与えるのは台無し
予定時間どおりに終わらせる“任務”を、自分ひとりで背負ってはいけません――ここに集中すると質が落ちてしまいます。にもかかわらず、会議や勉強会では、こんなひと言をつい口にしがちです。
×「あと10分で終了時間です。最後に1人2分ずつ発言してください」
これは「命令」にほかなりません。しかも細かく時間まで切っているので、相手の“やらされ感”は急上昇です。
やらされ感は百害あって一利なし、です。「やらされ感」が強まると、人はかえって反発したくなるのです。まるで、そろそろ宿題をやろうと思った矢先に、母親から「宿題はやったの?」と言われた子どものように。
チェックアウトのテクニックで自然と話したい空気にできる
逆に言うと、うまく気持ちをつかんでいれば、各人が自らタイム・マネジメントをしてくれるはずです。
○「あと10分ありますが、早めに終わりましょう」
発言を無理強いして時間を浪費するくらいなら、早めに終わったほうがマシです。
◎「あと10分の貴重な時間があるので、私たち1人ずつ発言して終わりませんか?」
しかし、せっかくの10分です。有効に使いましょう。ポイントは、「自分から」そして「ひと言発言」です。
これをファシリテーターの世界では、チェックアウトと言います。人は率先して発言できると、すごくすっきりします。参加者は、時間内にすっきり終えられるのです。チェックアウトで得た満足感は、良い後味として記憶に残ります。