ぼくらは言葉にする方法を教えてもらってこなかった
しかし、そんな大事な能力なのに、これまで手付かずで放置されてきました。ぼくらは、言語化に関して教えてもらったことがほとんどないのです。
ぼくらは小さい頃から「国語」を習っています。ですが、実際に何を勉強していたのかは正直わかりません。国語の授業があるだけで、漢字の読み書き以外、何か新しい知識を身につけた感覚はなく、何かできるようになった実感もありません。
ひとつ言えるのは、学校で習った国語は「読み取る力」を鍛えることに主眼が置かれていたことです。教科書を読んで、この文章の意味は何?
主人公の気持ちは?筆者が最も言いたいことは?
など、読み取る力(「受信力」)をトレーニングしてきました。一方で、表現したり、自分の感情を言葉にしたり、相手に伝えたりする「発信力」はほとんど習っていません。
また、日本語では「以心伝心」「察する」「空気を読む」など、言葉にしなくても伝わることが善とされていることもあり、より言葉にする重要性が軽視されているようにも思います。
ぼくらは相手に伝える行為どころか、自分が伝えたいことを言葉にすることにも向き合ってこなかったのではないでしょうか。そして言葉で伝える必要性が小さくなれば、そもそも自分が考えていることを言葉にすることも不要になります。
こういう背景があり、ぼくらは言語化が苦手になっています。
だから言葉にできないんです。
欧米のコミュニケーション、プレゼン、広告などと比較すると、日本人のそれらはあまり言葉にできていない感がぬぐえません。トレーニングを受けてきた人種とそうでない人種はやはり違うんですよね。
でも言うまでもなく、言葉にしなければ伝わりません。特にビジネスでは、何も言わなくても商品を買ってほしいというのは相当に無理があります。言葉で伝えなければ伝わらないんです。
ぼくらはその言語化のトレーニングをこれまでしてきませんでした。しかしそれゆえに、大きなチャンスがあります。これまで何もやってこなかった分野なので、誰もが同じところからのスタートですし、身につけたら身につけただけ純粋にプラスになります。