人は、自分の感覚のうち5%しか認識していない

 人間は、自分の脳の3%しか使っておらず、自分の筋肉の20~30%しか使っていないと聞きます。人は自分が持っているものを活用しきっていないわけです。

 そして、ハーバード大学のジェラルド・ザルトマン教授によれば、人間の意識の95%は言語化されていないそうです。感覚は持っていても、95%は自分で認識できずに「なんとなくそう思う」レベルになってしまっているということです。

 ぼくらは自分の感覚を言語化していません。だからぼくらは自分で望んでいるものを手に入れられない。自分の実力が発揮しきれない。

 しかし、残り95%の自分の感覚を言葉にできれば、自分が望んでいるものを自分で明確に把握できるようになります。自分が手掛けている仕事の意義も自分でしっかり理解できるようになります。

 さらに、それを相手に伝えることができます。相手もあなたと同じように95%の感覚を認識できていません。あなたがいい仕事をしているのに、その95%は相手が実感してくれない。いい商品を提供しているのに、それが伝わっていません。

 認識できないものは存在しないのと一緒です。ぼくらが持っているものが100でも、言語化できているのが「5」であれば、それは「5」しかないのと一緒です。自分の実力を高め、200を持つようになっても、相手が認識するのはたった「10」です。非常にもったいなくないですか?

 逆にいえば、実力が変わらなくても、これまでの倍を言語化して表現できるようになれば、それだけで「10」の価値が相手に見えるようになります。3倍にすれば「15」になります。

 ぼくらは自分の内側の5%しか理解できずに生きてきました。そして、ぼくらの5%しか伝えられずに生きてきました。人生の多くの場面で、言語化がボトルネックになっていたわけです。

 しかし同時に、最高のレバレッジポイントにもなります。言語化ができるようになれば、これまで伝わっていなかった自分の価値が伝わり、これまで気づけなかった要素に気づくことができます。そして「言語化」というひとつの能力を高めるだけで、仕事の成果が変わり、働き方が変わり、対人関係が変わっていきます。