いま、管理職やリーダーにとって、「チームマネジメント」のノウハウを学ぶ必要性が高まっています。なぜなら、世の中のトレンドの移り変わりが激しくなったうえ、転職が珍しくなくなったことで、「成果を出し続けるチームづくり」の難易度がかつてなく増しているからです。
そこで今回は、1年でチームの業績を13倍に急上昇させた「組織の変革メソッド」を伝授する『チームX』の著者・木下勝寿さんにご登壇いただいた本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)のQ&Aセッションをダイジェストでお届けいたします。(構成/根本隼)
「仕事の管理」がリーダーのミッション
読者からの質問(1) チームメンバーの意見はある程度合理的なのですが、その意見通りにマネジメントしようとすると無難な方向性になり、結局うまくいかないことが多いです。
かといって、マネジメント側で先に方向性を決めてから現場に落とし込むと「強制的な仕事」と捉えられてしまい、メンバーのモチベーションが下がる気もします。どのようにマネジメントするのが正解でしょうか?
木下勝寿(以下、木下) もしかすると、「人の管理」を重視しているのかもしれませんが、私は「仕事の管理」こそがリーダーのミッションだと考えています。
なぜなら、チーム全体で成果を出すために不可欠なのは「仕事の管理」であって、メンバーのやる気は目標達成のための「手段の1つ」でしかないからです。
極端かもしれませんが、メンバーのモチベーションが高くなくても、成果が出ていれば問題ないと私は考えています。もちろん、その場合は成果が一過性で終わるリスクがあるので、成果を「出し続ける」ためには、モチベーション向上が必要だとは思います。
ただ、最初は上司の指示に従っていただけでも、結果として成果があがれば、普通はメンバー自身が自然にやる気を出してくれます。
なので、マネジメントのKPIを「仕事の管理」にして、成果の度合いをきちんとウォッチしていくことが大事ですね。
「やらされ仕事」が多い職場の特徴
読者からの質問(2) 仕事を増やしてほしくない・自分さえよければいい・管理職になりたくないといった「マイナス思考」を抱いているメンバーが多い組織の改革を任されました。
どうにかして、明るく、お互いに感謝し合えるチームをつくりたいのですが、課題だらけの組織を改革していくには、何から着手するべきでしょうか。
木下 これも「人の管理」の話ですね。
基本的に、人間というのは「成果が先で、やる気は後」です。なので、メンバーのやる気が低いのは、そもそも成果が出ていなくて、やりがいを感じられないことが原因なのではないかと思います。
当社でも、すごく頑張って成果を出している一方で、「仕事、好き?」と聞かれると「嫌いです」と答えるメンバーがいます。ですが、結果が出ている以上、この人が仕事を好きかどうかはあまり重要なポイントではありません。
リーダーがやるべきなのは、メンバーの仕事が成果につながる「仕組み」を作ること。「マイナス思考」のメンバーが多いということは、おそらくその「仕組み」がまだできていないのではないでしょうか。
そのような状況では、多くの部下が仕事に「やらされ感」を覚え、言われたことしかやらない思考停止状態になってしまうのも当然です。「成果が出る仕組み」を先に作ってから、メンバーに奮起を促しましょう。
(本稿は、新刊『チームX』刊行記念セミナーに寄せられた質問への、著者・木下勝寿氏の回答です)