コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏はコンサルティングファーム志願者の「駆け込み寺」として、多くの内定者を送り出してきた。著書『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』では「ファームに入社した人の共通点」「具体的にどんな対策をすれば受かるのか」「入社後活躍する人とは」などについて、史上初めて実際に入社した3000人以上のデータを分析し「ファクトベース」で伝えている。この連載では、書籍から一部を抜粋・編集して掲載する。

【地頭のよさより重要】マッキンゼーが人を見るとき何よりも重視する「能力」とは?Photo: Adobe Stock

コンサルのリーダーシップは、20代でも、駆け出しでも、全員に求められる

「リーダーシップ」はマッキンゼーが特に重視していることで有名なコンピテンシー(行動特性・能力)です。マッキンゼーは、この能力を有しているかを確認するために選考しているといっても過言ではありません。

 リーダーシップを扱った多くの専門書がありますが、ここでは一般論ではなく、コンサルタントに必要なリーダーシップについてお伝えします。

 前提として、コンサルタントのリーダーシップとは、組織のトップが発揮すべきいわゆる「人の上に立つリーダーシップ」とは異なります。コンサルタントの「仕事の進め方」を理解すると、コンサルタントとしてのリーダーシップがどのようなものかが見えてきます。

 コンサルティングはプロジェクトベースで行われ、プロジェクトメンバーには役職に応じて異なる役割があります。また、プロジェクトでは定期的にクライアントとのミーティングやプロジェクト内でのミーティングが行われ、現時点での成果を確認したり、今後の方向性を明確にしたり、課題や具体的な作業内容を確認・共有したりします。このようなミーティングには原則としてメンバー全員が出席し、若手アナリストであっても自分の考えや意見を発言することが求められます。

 こうしたプロジェクトでは「上司のパートナーやプロジェクトマネージャーが決めて、トップダウンで他メンバーに指示だけが来る」ということはありません。アナリストであっても当事者意識を持ってミーティングに参加し、自分が担当しているパートはもちろん、プロジェクト全体にも主体的に取り組むことが求められます。

 つまり、コンサルタントのリーダーシップとは、プロジェクトの成功というゴールに向けて発揮されるものです。
 各々のコンサルタントが、
・与えられたタスクに責任を持ち
・プロジェクトメンバー、クライアントに対して積極的に発言し
・やるべきことを主体的かつ積極的に推し進めていく
「プロアクティブ(積極的・先見的)」な行動のことを指します。

 ランクにかかわらず、全てのコンサルタントがリーダーなのです。

(※本記事は、『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』から抜粋・編集したものです