「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。
「時間がない」ではなく、「時間は作る」もの
「ダンドリや時間管理が苦手です……」
「いつも期限ギリギリになってあたふたしてしまう……」
「どうすれば時間を捻出できるのかやり方がわからない……」
そんな人におすすめの1冊はこちら。マネジメントの父・巨人と評されるドラッカーの数ある名著から、本書では一番読みやすい『経営者の条件』を選書しました。「経営者」と書かれていますが、マネジャーもプレイヤーも新入社員も、とにかく社会人なら全員必読!と言えるような本です。
時間管理の本質は、「まとまった時間を確保すること」。常にこの1点を目的に、タイムマネジメントを行なうことです。『経営者の条件』から、私はこうした本質を学び取りました。
そもそもなぜ『経営者の条件』がダンドリやスケジューリングの話から始まっているのかというと、ドラッカーが「仕事の管理=時間の管理」と考えているからです。
ただし、時間といってもスキマ時間の活用を指しているわけではありません。確かにそれも大切な時間術の1つですが、何のためにスキマ時間を活用するのかといえば、その目的は「まとまった時間を確保するため」です。
小間切れの時間だけで1日が埋まっていたとしたら、たくさん作業はできても知的生産はできません。「何のためのタイムマネジメント」なのかを見失ってしまっていないか。『経営者の条件』を読んでいると、この点について深く向き合うことができます。
まとまった時間を確保することには大きな利点があります。たとえば、「コミュニケーション」。組織で働く以上、社内外を問わず多くの時間をコミュニケーションに割く必要があります。スキマ時間だけでは不十分な説明や交渉・説得しかできません。だからこそ、まとまった時間を確保し、その多くをコミュニケーションに使っていきたいのです。
そうはいっても、できるだけ少ない回数でコミュニケーションを円滑に済ませていきたいのであれば、日々の「人間関係構築」が重要になってきます。これも一朝一夕でどうこうできる話ではありません。自分のためだけではなく、人と関わり、他者をサポートするために時間を使っていく。
そのためにも、やはりまとまった時間の確保が重要になってくるわけです。
ぜひこの本質・方法を身につけ、まずはタイムマネジメントからドラッカーの世界に入門してみてください。
「仕事の管理は時間の管理から」である以上、ここをクリアしなければ、ドラッカーが残してくれた数々の仕事の本質を身につけることができない。そのくらい高い優先順位で取り組むべきことだと、私は捉えています。今回をきっかけに、まずは時間管理からマスターしていきましょう。
(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』の一部抜粋、再編集したものです)