小野薬品はがん免疫薬「オプジーボ」特許切れを乗り切れる?生え抜き新社長の実力とはPhoto:Diamond
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 小野薬品は24年度から新たな経営体制に刷新する。4月1日付で相良暁社長は会長CEOとなり、滝野十一研究本部長が社長COOに昇格。社長交代は08年9月以来で、相良社長は15年半の社長業に終止符を打つことになった。

 ただ、代表権のある会長CEOのため、変わらず経営に関与する。相良社長は1月11日の社長交代の記者会見で「引退会見はまだ早いかな」と発言。会長CEOと社長COOの役割分担について、こう説明した。

「オペレーションベースの意思決定は新社長がどんどん進める。会社の大方針を決めるときは相談しながら決め、私が最終責任をとる」

 記者の焦点は、いつまで相良社長が経営に関与するか、だ。会見後の囲み取材で「CEOはいつまでか」「節目は」と問われると、相良社長は次のように答えた。

「決めていないが、『とりあえず今は』ってことで、適切に判断していく。院政を敷こうとは、まったく思っていない」

 このタイミングでの社長交代にはもちろん意味がある。今後は主力のがん免疫療法薬「オプジーボ」のロイヤリティ収入が減少するほか、31年までに日米欧で段階的に特許切れを迎える。オプジーボに次ぐ主力品の2型糖尿病治療剤「フォシーガ」も早くて25年12月に後発品が参入する見込みで、小野にとって冬の時代が到来する。

 その打開策として掲げるのが、欧米での自社販売だ。現状は日本のほか韓国と台湾のローカル展開にとどまっているが、今後は世界最大市場の米国を皮切りに、欧州にも販路を広げる方針。現状を「グローバル企業への飛躍に向けた重要な局面」とし、その大役を担うのが滝野新社長だ。