後悔しない 医療・介護#2Photo:kulkann/gettyimages

2023~24年は認知症新薬の当たり年だ。昨年12月に保険適用されたエーザイの「レケンビ」に続き、早ければ夏には米イーライリリーの「ドナネマブ」が登場する。特集『後悔しない 医療・介護』の#2では、レケンビとドナネマブ、この二つの新薬の効果、安全性、使い勝手を徹底比較した。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

24年ぶりの新世代薬登場からわずか半年
今年夏には競合薬が参戦

 認知症の一種であるアルツハイマー病を治療する新薬として、エーザイの「レケンビ」(一般名:レカネマブ)が昨年12月に保険適用された。これまで認知症の薬物治療は、同じエーザイが開発して1999年に発売された「アリセプト」(一般名:ドネペジル塩酸塩。現在は後発薬が他社からも販売されている)が王道だった。

 2011年に「レミニール」(一般名:ガランタミン臭化水素酸塩)、「イクセロン/リバスタッチ」(一般名:リバスチグミン)、「メマリー」(一般名:メマンチン塩酸塩)の3剤が登場したが、これらはアリセプトに取って代わる薬ではなく、薬剤選択の幅を広げるものとして追加で承認された側面があった。

 アリセプトも後続の3剤もあくまで症状を軽減する対症療法。対してレケンビは、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβを分解する「抗アミロイドβ抗体薬」として世界で初めて薬事承認された。実に24年ぶりに世に現れた新世代の薬である。

 新世代薬として今年はもう1剤、医療現場に登場する予定がある。それが米イーライリリーのドナネマブ(一般名)である。早ければ夏にも保険適用される見込みで、レケンビと同様の抗アミロイドβ抗体薬。適応もMCI(軽度認知障害)からごく早期のアルツハイマー病と、全く同じだ。

 レケンビ登場から半年余りで、患者は競合する2剤から選択することになる。では、どちらがより効果があるのか、そしてどのような使い分けが想定されているのか。次ページでは新世代薬2剤を徹底比較する。