偏らないためには誘導する
もうおわかりだと思いますが、いかにもお客様のためのように特定の住戸をおすすめするのは、空いているのを埋めるためです。これが実は効果てきめんなのです。
あるタイプが1階から最上階まで全く検討者がいないマンションがありました。そこで、ある日の朝礼で「本日は◯タイプの強化日です。全ての検討者に検討者ごとの理由を考えてこのタイプをおすすめしましょう。」と号令をかけました。実際はお客様ごとの理由なんてそんなに思いつくものでもなく無茶な考えでした。しかし結果は1日でそのタイプの1/3に購入見込み客が現れたのです。売る側からすると成果が上がった一日でしたがこんなに簡単でいいのだろうかと思う一日でもありました。お客様にとってベストの選択をしてあげたとは決して言えなかったからです。
ここまで読んで「自分は絶対そんなのには引っかからない」と思う人も多いと思いますがそんな人ほどあっさりと誘導されてしまうのですよ。少し、実際の誘導トーク例を挙げてみます。
具体的誘導トーク〜階数編
1.最上階が空いている場合
「ちょっとお値段は上がりますが、やはり最上階だと、自分の上に誰も住んでいないので上階からの音の問題もないしおすすめです。月々の返済額のアップもこのくらいなら許容範囲じゃないでしょうか」
2.最上階が重なって下の階にしてほしい場合
「最上階は屋根に日光が直接当たって冷房が効きにくいという方もいらっしゃいますよ。ひとつ下の階ならそういうこともないですし、眺望もあまり変わらないしいかがでしょうか。泥棒に狙われやすいのが最上階だという話もありますし」
3.2階に誘導する場合
「1階だと防犯上の心配もありますし、プライバシーの問題もありますよね。その点2階ならエレベーターを使わなくても生活できるし、価格設定も割安です。上層階の眺望がいいといっても毎日同じ景色だしすぐ飽きてしまうといいますよ。」
4.1階を売りたい場合
「1階だと、下に人が住んでいないのでお子様の足音に気を使わないで生活できますよ。なによりお子様をのびのび育てられるというのは大切にしたいですよね。」