電話恐怖症の改善には
何が効果的なのか

 社会の風土に影響されている側面もあるようだが、では、電話恐怖症の人はどのような対応を考えるのがベストなのか。

「まずはストレスの要因から離れることができれば理想です。とはいえ、職場を変える、携帯電話を捨てるといった行動ができる社会人はそう多くはいません。最低限、客観的かつ冷静で、不用意に評価判断しないカウンセラーや、周囲の信頼できる人に相談しつつ、自分を変化・適応させるためにはどうしたらいいかを考えることが大切です」

 そして、働き方とストレス要因を明確にし、心という目に見えないけど重要なシステムへの対応法を模索しなければならない。

「そうした対応を望む人をむげにしない、職場側の『理解しよう』という姿勢も必要です。とくに、電話恐怖症の人に対して、『どうしてつらいの?』などの配慮や遠慮に欠けた接し方はNG。周りにできるのは、『あなたを大切にしたいので、もっとあなたのことを教えてください』という姿勢で、安心感を与えることです。たとえば部下に電話でフィードバックをするときも、『以前よりも確実に変わってきているね。だから今のペースでしばらく続けてみようか』など、最後まで部下に寄り添う姿勢を示すことが重要になります」

 最後に亀山氏は、いま電話恐怖症を含む社会不安障害に悩む人に対し、次のように話す。

「症状の改善には、上司や相手の言動などで動じない自信を身につけることは必須。しかし、他人からの『自信を持って』なんて白々しいですし、そんな簡単に自信を持てる人なんていません。だからまず、自分のいまの状況を、口にするなり書くなりして、言語化をし続けてみてください。自分はいま何ができて、何ができないのか?何が快で不快なのか?など。それが良いか悪いかというジャッジは必要ありません。単に、『いま、自分はこの状況にある』という現状理解、自己認知から始めることが、徐々に自分を認めることにつながっていくと考えてください」

 改善の仕方にも、人それぞれのペースや合った方法がある。一人で抱え込みすぎず、緩和させていく方法を一歩ずつ探すのがベストのようだ。

監修
亀山真吾
カラダの調律院『リライフアーツ』院長
1976年東京都大田区生まれ。26歳でRMIT大学(オーストラリアのメルボルンに本部を置く国立大学)日本校へ入学し、カイロプラクティック理学士・応用理学士の資格を取得。2012年に町田市で治療院「リライフアーツ」を開院し、うつやパニック、適応障害といった心の不調、職場や家庭の人間関係における悩み、社会復帰支援など幅広いサポートで、これまでに延べ1万2000人以上の人生に寄り添う。