仕事でミスをしてしまったとき、自分の責任を認めるのには勇気がいる。周りに同僚がいる状況で、上司に打ち明けるのは恥ずかしいし、評価が下がる可能性もある。体裁を失わないように、ウソをついてごまかそうとする人もいるだろう。しかし、軽はずみについたウソが、一生を台無しにするリスクがあることを忘れてはいけない。
今回は、人生の「成功」を手助けするアドバイスが満載で、「人生に悩む人のバイブル」「何度も読み返したい」と反響を呼び続けている『成功者がしている100の習慣』(ナイジェル・カンバーランド著)から、平気でウソをついてしまう人に欠けている視点を解説する。(構成/根本隼)

ミスをしたときに「正直に報告できる部下」と「バレないようにごまかす部下」の決定的な差Photo:Adobe Stock

一度ウソをつき始めると、やがて癖になる

 多くの心理学の研究で、「人間は基本的にウソつきである」ということが明らかになってきている。大ウソとまではいかずとも、会話の流れでつい「話を盛ってしまった」という経験は、誰しもあるだろう。

 実際にあった話を少し大きく見せる程度ならまだマシだが、まったく何もないところからウソを作り出すとなると、悪質なケースといえる。

 しかも、一度ウソをつくと、それをつくろうために、さらなるウソをつかなければいけなくなる。「ウソがウソを呼ぶ」という負のスパイラルに陥ってしまうのだ。

ウソで得た成功は、一瞬で崩壊する

 本書の著者・カンバーランド氏は、ウソをつくことの危険性を以下のように述べている。

ウソで成功を得るのは、土台のない家を建てるようなものです。

いつかはウソがばれ、その報いがやってきます。見かけだけ立派な張りぼての家は、一瞬で崩壊しかねません。あなたの評価も、安定した職も、自由さえも失われる可能性があります。
(P.300, 302)

 つい最近も、ある有名な通訳者が「学歴詐称」をしていた疑惑が報じられた。他人との信頼関係や誠実なイメージを築き上げるには多大な時間を要するが、それが瓦解するのはほんの一瞬だということを、多くの人が改めて感じたことだろう。

「ミスがバレないようにごまかす部下」に欠けている視点

 人がよくウソをつくのは、仕事にまつわる場面。代表的なのは、仕事でミスをしたとき、正直に話さずに、その場を一時的にしのごうとするケースだろう。また、アメリカのある調査によると、会社をズル休みするためにウソをついた経験があると答えた人は、なんと96%だったという。

ミスをしたときに「正直に報告できる部下」と「バレないようにごまかす部下」の決定的な差

 しかし、カンバーランド氏は、ウソをつく「リスク」をきちんと考えるべきだと指摘する。

ウソをつけば、それがいつか発覚し、どれほど甚大な影響が出るかわからないまま生きていくことになります。

ウソがばれたときのことを想像してください。あなたはそれがもたらす結果に耐えながら、生きていくことができるでしょうか? 答えは常に「ノー」であるはずです。
P.303)

 自分のミスを上司に正直に報告しない社員は、この長期的な視点が決定的に欠けているといってよいだろう。ウソをついた本人は、「バレたら大変だ」と怯えながらストレスフルな状態で仕事をすることになる。また、そうした「その場しのぎのウソ」は、いつかバレる可能性も高い。

 「ウソをついて何とか切り抜けよう」という発想が少しでもよぎったら、一生抱え込む恐怖心・ストレスとその場かぎりの苦労・恥ずかしさのどちらがマシか、立ち止まって考えてみるべきなのだ。

成功する人は「自分にウソをつかない」をモットーにし、成功しない人は軽はずみにウソをつく(P.299)

 世界中の人々をコーチングしてきた経験から導き出した、カンバーランド氏の言葉をしっかりと心に留めておきたい。

ミスをしたときに「正直に報告できる部下」と「バレないようにごまかす部下」の決定的な差ナイジェル・カンバーランド 著/児島 修 訳
本体1600円+税10%