<正解>
 7万8000円

 昔あったんですよ……2000円札という紙幣が……。
 いまも沖縄ではかなり流通しているようですが、それ以外の地域で見ることは少なくなりました。
 さて、この問題、情報は少ないですが解けるはずです。
 あるポイントに目を向けられると、一瞬でひらめけるはず。
 どんなに小さいことでもいいので、確定できることはないでしょうか?

それぞれの「最低枚数」は?

 問題文には、いかなる20枚を取り出しても「少なくとも1000円札が1枚、2000円札が2枚、5000円札が5枚存在する」とあります。
 ここから、1000円札・2000円札・5000円札の最低枚数(少なくともこの枚数以上存在するという数)を割り出せます。

 なぜなら「どんな20枚を選んでもその中に少なくとも1枚の1000円札が存在する」とは、少なくとも、

「選ばなかった6枚+1枚」の1000円札が存在する

 ということだからです。

「選ばれなかった6枚」が鍵を握る

 1000円札が7枚以上あれば、どのように20枚を選んでも、「選ばれた20枚」には1000円札がかならず1枚は入ります。
 7枚の1000円札を、6枚の「選ばなかったお札」に押し込めることは不可能だからです。
 よって、

 1000円札は「選ばれなかった6枚+1枚」以上=7枚以上

 ということがわかります。同様の発想で、

 2000円札は「選ばれなかった6枚+2枚」以上=8枚以上
 5000円札は「選ばれなかった6枚+5枚」以上=11枚以上

 とわかります。
 それぞれの最低枚数を合計すると「7+8+11=26」です。
 そしてサイフの中に入っていたお札も全部で26枚。
 すなわち、26枚のお金の内訳は、

 1000円札が7枚
 2000円札が8枚
 5000円札が11枚

 であり、それらを合計した7万8000円が正解です。

「思考」のまとめ

 いっけんすると「情報量が少なすぎて解けない!」と感じてしまいますが、「選ばれていない方」に着目することで解ける問題でした。
 目に見えている部分だけでなく、「見えていない部分」にも目を向けることで、わかる真実もあります。
 視点をズラすこともまた、ひらめきを生む方法のひとつなのです。

 ・目の前にあるものだけが手がかりではない
 ・「見えていない部分」に目を向けることで、わかることもある

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター
論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。