紙片づけができない人は詐欺にだまされやすい

――えー! どんな情報にだまされるんですか?

石阪:たとえば投資詐欺。ある生徒さんが投資セミナーに行って、「つみたてNISAってなんか難しそうだけど、お金のこと考えたらやっぱりやったほうがいいですよね?」って聞いたら、「いやいや、もっと得なものもあるよ」って違う金融商品を勧められて。結局それは集団投資スキームの詐欺だったんです。

――お金のことがわからない人が投資セミナーに行くなんてカモネギですね。

石阪:そうなんですよ。誰かに教えてもらおうという考えがよくないんです。私が『紙片づけ』で一番言いたかったことも、「自分の頭で考えて」っていうことなんです。この本で伝えられる答えは、ほとんどすべて書きましたけど、本当に大事なことは自分の頭で考えないと、後々大変なことになりますから。

この間お会いしたシングルマザーの方は、息子さんの学校から電話がかかってきて、「今週金曜日までに40万円払っていただかないと退学です」と言われたそうです。話を聞いたら、毎年もらっていた奨学給付金の申請書を出し忘れたらしくて。もう締切が過ぎて給付金はもらえなかったので、急いで40万円かき集めて振り込んだと言ってました。その反省から、私の本を買って読んでくださったそうなんです。

――私も大事なことは絶対に忘れないように、デスク周りに付箋を貼ったり、スマホのリマインダーやGoogleカレンダーに予定を入れて通知オンにしています。自分の記憶力を信じていないので(笑)。

石阪:わかります。出版業界の方はツールを使いこなしている方が多いですよね。でも私に相談に来る方で、自分の記憶に頼っている人って、まだまだ多いです。メモにちょこちょこっと書くだけとか。そういう人はまず、家族で共有する壁掛けカレンダーにスケジュールを書き込んだほうがいいです。そして、スマホのカレンダーにも入れてアラーム設定する。そうすれば大失敗を避けられるから、すごく気が楽になります。

――いろんな情報がごっちゃになって本当に必要なものを把握していないと、肝心なときに大変なことになるので、必要なものだけシンプルに管理するって本当に大事ですね。

石阪:「勝手に入ってくる情報や人から勧められる情報は要らない」と思うくらいでちょうどいいと思います。必要な情報は自分から取りに行けばいいので。だから私の講座では、1週間分溜まった我が家の郵便物をみなさんの前に持っていって、その場でバサバサ選別するのを見ていただくんです。

たとえば、デパートから来た封筒を開けずにそのままゴミ箱に捨てると、「住所や名前の個人情報が書いてあるけどいいんですか?」と聞かれることがあります。私は同じマンションの人には住所がバレてるから気になりませんけど、気になる人は紙袋に入れたり、ビリビリ破いて生ゴミと一緒に捨てればいいんですよ。

とにかく、“なんとなくお得そうな紙”や、“いつか使うかもしれない紙”はすぐ捨てる。この「なんとなく」「いつか使うかも」「とりあえずとっておこう」をなくすと迷わずシンプルに仕分けできるようになります。

【大好評連載】
第1回 1000軒以上の家を片づけて分かった! 紙が片づいていない家庭は、お金が貯まらない理由

1000軒以上の家を片づけて分かった! 取っておくべき「紙」は、この6カテゴリに分けられる【書籍オンライン編集部セレクション】