「役に立つ人間であれ、さもなければ去れ」というメッセージのずるさは、「できない」「使えない」とされた人を追い詰めるだけでなく、その刃は先がブーメランのように、いった側にも返ってくるところにもあります。この価値観を内面化し、常に「役に立つ人間」として働き続けてきた人は、自分や自分の大切な人が「役に立たない」と見なされるようになったとき、いったいどうするのでしょうか。
人格否定されたという思考から
抜け出すための考え方
仕事でミスをしてひどく怒られたときは、相手が「出来事について」叱っているのか、「人格について」攻撃しているのかを見きわめましょう。「会議室取れてなかったよ、これから気を付けて」は出来事の指摘ですが、「こんな失敗をするなんて使えないやつだ」は人格攻撃です。後者は不当なので、受け入れる必要はありません。
「ご迷惑をおかけしたのは申し訳なかったです。でも、『使えない』というのはいい過ぎではないでしょうか」と主張したり、直接いうのが難しければ上司に相談するなどして、改善されなければ職場を変わることも考えたほうがよいと思います。「ミスをしたのは自分だから」「逃げてはいけない」と耐えていると、自己否定感がふくらみ、びくびくした結果さらにミスが増えてしまったり、ひどい場合には病気になってしまう可能性もあります。
逆に、仕事の相手が失敗した場合には、「出来事」の問題性を指摘しても、「人格」を攻撃してしまわないように気を付けましょう。ハラスメントになってしまいます。
【浦河べてるの家】
「仕事ができることはよい」「仕事は一生懸命がんばってやるべき」、というあたりまえの価値を問い直し、新しい職場のあり方を模索した取り組みに、「浦河べてるの家」の事業があります。