下戸のビジネスパーソン激白
「酒が飲めなくてもハンデじゃない」

 世の中にはまったく酒の飲めない優秀なビジネスパーソンもいる。そのうちの一人A氏(30代)は20代の頃までは付き合いで飲まされることがあり、路上で泥酔したこともあったという。

 若手から中堅になるにつれ、宴席での勧めをうまく交わすことができるようになり、また時代の変化もあって「一杯ぐらい飲め」と強要する人も減っていった。A氏は酒を飲めないことをむしろ強みだと考えているという。

「酒が好きで弱い人は、酔うとわかっていても飲んでしまうので、逆にキッパリ飲めなくて良かったと思っています。もともと人と話したり騒いだりするのは好きなので、酒を飲んでいる人のテンションについていけないこともない。下戸は酔っ払いが覚えていない宴席での出来事を覚えているので、情報通が多いです」

 また、酒の席のコミュニケーションについて、こう言う。

「酒の席でのコミュニケーションと言うけれど実際はそれよりも前の話で、酒が飲めるかどうかというより、宴席を囲みたいような人と一緒に仕事をしているかどうかだと思います。コロナ以降は特に、酒を飲めなくてガッカリされるという風潮も過去のことになったように思います」

 同じく下戸のB氏(30代)も言う。

「酒に強くても寡黙に飲んでるタイプの上司もいるので、酒がコミュニケーションに役立つかどうかはケースバイケースですよね。最近では副業やリスキリング、自分の趣味に時間を使いたい若手も多いので、飲めないわけでなくてもノンアルコールで乾杯して、職場の飲み会は早めに切り上げる人も多い。そのほうが仕事ができる人に見えて評価されることもある」

 ドラマや漫画で酒が飲めない主人公やメインキャラクターが好意的に描かれることもしばしばあると言い、こういった風潮も「飲めない人」あるいは「あえて飲まない人」を受け入れる土壌につながっているのかもしれない。

 一方、酒が好きで、酒の席でのコミュニケーションを好むC氏(20代)は言う。

「私の場合は仕事のオンとオフを分けたいタイプなので、酒でオフのスイッチが入る。仕事の人と飲んでいる場合はオンとオフの中間ぐらいになるので、それが居心地良いと感じる人もいるのではないでしょうか。ただ、その場の全員が楽しんでいるのが前提で、だらしなく飲んだり絡んだりするのは御法度だと思います」