三流の管理職は「自己評価」や「360度評価」が大好物。じゃあ、超一流のリーダーは?
そう語るのは、これまで4000社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/種岡 健)
自己評価に意味はない
目標設定とゴールの確認。
その「点と点でマネジメントする方法」は非常に効果があります。
たとえば、週に1回のオンラインミーティングで目標だけをすり合わせ、翌週に報告させることに集中しやすくなります。
多くの会社で、成果を出している人が評価され、頑張っているアピールをしていた人は、結果が出せていないことが炙り出されたことでしょう。
組織として、とても健全な体質になっていくのです。
正しく結果を評価するためには、「距離をあける」ことが必要です。
それにより、客観的な評価が可能になります。
逆に、もっとも距離が近い評価は、「自己評価」です。
自分で自分を評価することは、距離をあけようがありません。
大概の「自己評価」は、高くなりがちです。(あるいは、低くなりすぎることも)
自分に厳しくできる人は、自己評価をやや低く付けますが、ほとんどは高くなってしまいます。
なぜなら、自分がやっている行為そのものが「プロセス」だからです。
リーダーは距離をあけて「プロセスより結果を見る」ということができますが、自分で自分のプロセスを見ないことは物理上できません。
中には、客観性を持ち合わせて自分を評価できる人もいますが、いないとしたほうが早いでしょう。
「正しく自己評価しよう」という言葉は、理論上、成立しないのです。
「360度評価」はいらない
部下が上司を評価する「360度評価」という試みがあります。
このやり方には反対です。
「評価」とは本来、「目標を達成できているかどうかを判断する行為」です。
目標を決める権限のない人が、責任ある立場の人間を「評価」することは矛盾しています。
評価は「責任」がある人にしかできません。
部下からの評価は、すべて「無責任な感想」です。
「最近、上司の顔を見ていると疲れているようだな。頑張っているんだろうな」
そんな印象でしか評価できないでしょう。
どうしても部下は「好き嫌い」で判断するしかできないのです。
360度評価という発想が出てくる背景には、経営層が自らのマネジメントに自信がなく、中間管理職を信用していないことが原因です。
すでに会社に360度評価が導入されているリーダーはかわいそうですが、その中でやっていくしかありません。
たとえ、360度評価による自分の評価が悪くなったとしても、チームの結果を出すことだけに集中することをおすすめします。
ブレないための軸、つまり「リーダーの仮面」が必要です。
部下からの評価を気にして、甘く接してしまう誘惑と戦うようにしてください。
(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。