「自分を100のエピソードで語ってください」
ESの設問がおかしくなった理由とは
コロナ禍以前のESの定番質問といえば、だいたい(1)志望動機、(2)自己PR、(3)学生時代に頑張ったことと乗り越えた苦労。この3つを書けばよかったのですが(コンテンツ産業系は昔からかなり特殊な問題でしたが)、今やES1枚書くのに2晩とか3晩使うのが日常となりました。
たとえば最近では、以下のような質問がありました。
●あなたの人柄が伝わる自己紹介動画を撮影し、提出してください。
●やがて訪れる2030年を想像しながら、エンターテインメントを軸に多くのお客様の心を動かすことができる懇親の企画を自由に表現してください。(一枚の白紙が配布されているだけで、本当に自由に書くしかありません)
●あなたはどんな人ですか?写真や絵や文章を交えて自由に表現してください。
●学校での出来事ベスト5 を教えてください。タイトル20字以下、本文50字以内。
最終面接の代わりにレポートを提出する会社もありました。
●すべての店舗の社員に命令しておきますので、○日から〇日の間、1週間のあいだに店舗を訪問して、店員に面接し、各店舗の工夫や欠点を聞き出し、お客のためにどんな制度を作れば喜ばれるか、会社のためにはどういう制度改革が必要かレポートせよ。
●10秒で自分を言い表す言葉を10個書いてください。
●あなたはどんな人ですか。100のエピソードで語ってください。
以下は、グループディスカッションのテーマです。
●どうしても日本の島を一つ海外の島と交換しなければならない場合、どの島を譲り、どの島を獲得するのがいいでしょうか。
●あなたが最愛の人にプレゼントしたい本を1冊とその理由をのべよ。
●あなたの現在、過去、未来を象徴する出来事を3つの短歌で表現してください。
なぜESがこんなに難しく、しかも質問数が多くなったのかというと、コロナ禍によるウェブテストの信憑性の低下が原因の一つとなっているようです。それまでは大きな会場を借りたり、自社の会議場で就活生が集まったりして、ペーパーテストを行っていました。しかし、PCで自宅からでも参加可能となると、採用側には見えないところで「ズル」をしてもわかりません。
たとえば、数学が不得意なら得意な友人や先輩にその場にいてもらい、カンニングすることもできます。また、想定される質問の回答をカンペにしてPCの下に置くことで、面接の想定回答を事前に覚えずに答えることも可能になりました。