その後、各臓器に送られ、人間特有のタンパク質が作られます。同様に、魚や米の中にもタンパク質が入っています。これらのタンパク質は人間のからだの中で消化されて、いったんアミノ酸になります。このアミノ酸から私たち人間のタンパク質が作り直されているために、何を食べても人間のからだができあがるのです。皆さんのからだは食べたタンパク質でできているので、皆さんのからだを丈夫にしたいと思うときには、ちゃんとしたタンパク質を食べなければいけないことが分かりますね。良質なタンパク質の摂取、これが非常に大事なことなのです。

 ところが厚生労働省が数年前に、日本人のタンパク質摂取量には不安があると報告しました。特に、30歳から64歳の働き盛りの人の2割以上が、タンパク質の摂取に問題があるというのです。どういうことかというと、良質のタンパク質を食べていないというのが第一点。もう1つは、タンパク質の総摂取量が少ないという点です。

 筋肉をずっと長い間、維持するためにはどうしたらいいかというと、皆さんの体重1キログラム当たり1グラムのタンパク質を食べなさい、と言われているのです。これは、大人も子どもも同じです。特に高齢者になったときに筋肉が減ってくるサルコペニアという症状が顕著になり、その後フレイル(虚弱)という状態になります。そうならないように、どうしたらいいのでしょうか。日本サルコペニア・フレイル学会からは、1日、体重1キログラム当たり1グラムのタンパク質を食べなさいと言われているのですが、最近、この1.3倍くらい必要だとも言われているのです。つまり、体重1キログラムにつき1.3グラムのタンパク質を食べなさい、と。

肉は100gあたり10~20g、
魚は20g程度のタンパク質が含まれると覚えよう

 そうすると、皆さんが食べているものの中にタンパク質がどれくらい含まれているか、気になります。例えば、お昼におそばを食べるとします。普通のざるそば1人分に15.9グラムのタンパク質が入っていると思ってください。そうすると、50キロの人は1日50グラムのタンパク質を食べなければいけませんから、ざるそば3杯ちょっと分のタンパク質を食べればいい、ということになります。

 朝昼晩とざるそばを食べている人はいないと思うので、そうすると、ご飯やパンにタンパク質がどれくらい含まれているかが気になりますね。こういうふうに、タンパク質を計算する癖を付けておくことは非常に大切です。例えば、昼にサンドイッチを食べるとします。サンドイッチの中にはハムが挟まっていたり、バターが入っていたりします。その中のタンパク質は、平均12.7グラムです。大体の数値を覚えておくといいですね。