再開発による好循環

ここでキーワードになるのが、「再開発」です。再開発とは、駅前などの古い建物や道路をつくり直して街並みを改善する公共事業のことです。基本的には行政が主体となって、再開発します。

不動産鑑定士の方から聞いた話で、私は再開発が地価と密接に結びついていることを知りました。一般的に、再開発が行われるのは、人や企業が集まり、大きな税収のある都市部に集中しています。

再開発が行われれば街が近代化するなどして魅力が増し、さらに人や企業を呼び寄せることができます。その結果として税収が集まって、行政サービスが充実するという好循環が起きます。

再開発で価値が
高まる都市を選ぶ

このような好循環が起きると、地価は上昇していきます。事実として、近年は札幌市が再開発にともない10年連続で地価が上昇しており、2022年は対前年比10.5%という大きな上昇率を記録しました。

札幌市ではタワービルや球場、バスターミナル、商業施設などの建設が進められており、住人や企業からのニーズが高まっているのです。

先に挙げた麻布や田園調布などの高級住宅街は、不動産が売りに出されるケースが少ないうえ、出されたとしても非常に高額なことから、一般の会社員や公務員が購入するのは困難です。しかし、これから再開発による地価上昇が見込まれる場所から選ぶことはできます。

地価の勝敗が
明確に分かれる?

地価上昇を見越して不動産を買うのであれば、都市部を選ぶ必要があります。「全国市街地再開発協会」がネットで公開している再開発マップ(www.uraja.or.jp/map/)を検索してみると、やはり都心に集中していることがわかります。

今後は日本の少子高齢化を受けて、都市によって地価の勝敗がはっきり分かれてくることが予想されます。

住民や企業が少ない土地は再開発をする余裕がなく、地価が下落するおそれがあるため、不動産を買うと損をするかもしれません。

人口減少が深刻な
「消滅可能性都市」

ちなみに私自身は自然豊かな田舎で生活することに少し憧れがあるのですが、九州の田舎で暮らしている母を見て、実際に生活をするのは厳しいと感じています。

私の実家がある場所は、全国の市区町村のうち896ある「消滅可能性都市」の1つです。

消滅可能性都市とは、女性人口の減少率が50%を超える自治体であり、2040年までに自治体として存続できなくなる可能性が高いとされています。

地価の上昇が見込まれる
都市を選んで不動産をもつ

私の実家の近くにはバスや電車が通っておらず、車がなければ生活できない場所ですから、母が高齢になった後のことが心配です。いずれ都市部に引っ越すことになるでしょう。

人口減少が続く日本に生きる私たちは、住む場所をより慎重に選ぶ必要があります。その1つの目安となるのが、地価の動向といえます。

資産だけでなく生活を守るという意味でも、これから衰退する地域ではなく、地価の上昇が見込まれる都市を選んで不動産をもつ必要があります。

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。