車1台増えるごとに、各家庭は駐車場を作り、役所や企業はより多くの駐車場を整備する必要が生じます。そうすることで本来なら公園などに使われるはずの貴重で価値のある都市部の土地を食いつぶしてしまいます。

 世界で最も車依存度が高い国の1つであるアメリカでは、現在、車1台に対して利用可能な駐車場が8カ所あります。

 渋滞緩和のために道路や関連インフラの拡大の必要が生じ、多くの税金が投入されています。車の所有率の高さが、炭素排出を増加させていることは明らかです。

 この革命はまだ始まったばかりであり、長い時間をかけて自動車会社は、車の製造販売業からMaaS(Mobility as a Service)のプロバイダーに変身していくでしょう。

書影『イノベーション全史』『イノベーション全史』(BOW&PARTNERS)
木谷哲夫 著

 トヨタが従来のトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4販社をトヨタモビリティに一本化しましたが、トヨタはこの未来の変革を見据えているのかもしれません。

 ライドシェアが長い間禁止されたことの意外な副産物として、日本ではシェアリングエコノミーの発想が生まれにくく、シェアリングエコノミーの観点からの魅力的なスタートアップがほとんど生まれなくなったと言われています。シェアリングエコノミーはモノの数を減らし共有化することで無駄を減らし、サステイナビリティと極めて親和性が高いのにもかかわらず、です。

 しかし長い目で見ると、急速に進化する各種の技術のコンバージェンスによりもたらされるさまざまなシェアリングエコノミーの効率は圧倒的であり、そのうち世界の動きに飲み込まれるでしょう。