仕事や家事や育児、介護などの最中にもちょっとしたことをきっかけに「イライラ」が襲ってくることがある。そんなふうにイライラしては、後でそんな自分に嫌気がさして落ち込んだり反省したりといったことを繰り返してしまう。そんな人も少なくないだろう。そんな人たちに向けて「イライラしたっていいんだよ」とやさしいメッセージをくれるのが、SNSで大人気のカウンセラー・Pocheさんの新刊『がんばるのをやめたらうまくいった』だ。人間関係や親子問題、アダルトチルドレン(AC)専門のカウンセラーとして活躍するPocheさん。本書の中で、「イライラ」が果たす役割とイライラした際の対処法について教えてくれている。その内容について、本記事でご紹介する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
「イライラ」するのは悪いこと?
筆者は毎日、イライラしていた時期がある。更年期ではない。30歳前後の頃の話だ。
当時は、初めて部下ができ、部下の仕事もフォローしながら、自分の大量の仕事をさばいていた。
そのため、筆者は毎日何かしらにイライラしていたのを覚えている。
注意喚起をしていたのに「ミスしちゃいました」と言ってくる営業担当。何度言っても締め切りを守らない部下。仕事が立て込んでいるところにさらに仕事を振ってくる上司……。
「はあ!?」と思いながら、生きていた気がする。そして、当然この感情を身のうちに収めていることなどできず、かなりイラついた人に見えていたことだろうと思う。
とはいえ、自分でもそんな自分を好きだったわけではない。
「いつもイライラしていて嫌だな」「さっきはちょっと強く言い過ぎてしまったな」などと、反省したり落ち込んだりしていた。
こんなふうにイライラしては落ち込んでしまう、というのは筆者だけではないはずだ。
「できればイライラせずに過ごしたい」
そう考える人が大半なのではないかと思うが、Pocheさんは「イライラしても大丈夫。むしろ、まったくイライラしなくなる方が、生きていくうえでは危険です」とアドバイスする。
一体どういうことだろうか。
「イライラ」は生きていく上で必要な反応
Pocheさん曰く、「イライラは、あなたの心を守る重要な反応」なのだそうだ。
イヤなことを言われたときにイライラしなくなったら、心がズタズタに傷ついてしまいます。
理不尽な要求にイライラしなくなったら、必要以上に頑張りすぎて、体がボロボロになってしまいます。
苦手なタイプの人にイライラしなくなったら、うっかり近づいて大変なことになってしまうかもしれません。(P.36)
つまり「イライラ」は自分にとってよくないものを測るバロメーターのような役割を果たしているというのだ。
確かに、うれしいことや楽しいことをしていたり、好きな人と一緒にいたりすることで、イライラすることはまずない。
自分にとって良くないことと認識しているからイライラするのだ。
さらに、Pocheさんは「そもそもイライラするのは、あなたがたくさんのことを頑張っているからこそ」と指摘する。
確かに、自分さえ良ければいいと考える人は、人にイライラを与えこそすれ、自分がイライラすることはないだろう。
イライラは、いろいろな理不尽や厄介ごとに耐えている結果なのだ。
イライラは頑張っている証拠
Pocheさんは、イライラしてしまう人に向けて、次のようにアドバイスする。
だからイライラする人とは、離れよう。
イライラしたときこそ、ひと息つこう。
イライラする自分がイヤになったら自分に優しくしよう。(P.34-35)
イライラするほど自分は頑張っているのだ!
そう思うと、少し気が楽になってくるのではないだろうか。
今あなたがイライラしているとしたら、それだけ日々頑張っている証拠なのだ。
そんな自分を責めず、自分だけは自分を優しく労ってあげてほしい。