必要な情報だけをピックアップしてまとめる
「ブランチカット」ノート術

西岡:ちなみに、板書を写すときの節切りはどのように判断されているのですか? これは、写しながらその場で判断することが求められますが……。

米田:先生がきちんと分けて説明してくれるので、そのまま区切ればいいときもありますが、そうでないときはある程度直感ですね。

西岡:米田さんは「節切り」という言い方をしていますが、この手法は、僕の著書『「思考」が整う東大ノート。』でも「ブランチカット」と言って、この「節切り」の進化版のような手法を詳しく説明しています。一例を簡単に挙げますと……

「昨日の18時ごろ、自分の家の近くの西荻窪駅を歩いていたら、駅の改札近くで偶然取引先の深田さんと会って10分ほどお話をした」

 こんな内容を上司に報告するとしたら、皆さんならどうしますか? やはり仕事ですから、要点だけを端的に伝える必要がありますよね。そこでオススメなのが「ブランチカット」手法。

 つまり、「昨日の/18時ごろ/自分の家の近くの/西荻窪駅を/歩いていたら……」などと細かく文を区切って重要なものだけ取り出すという方法です。

 そして取り出す要素は以下の3つです。

①「主語」→「私」
②「動詞」→「会った」
③「目的語」→「深田さんに」

 実はたったこれだけの情報で、上司への報告はきちんと成立するのです。むしろ余計なことを伝えていないだけに、上司はより理解しやすいかもしれません。米田さんの「節切り」からの「まとめノート」作りは、まさにこの「ブランチカット」を自然と用いたものと言えると思います。

30ページが2~6ページに激減する

米田:おっしゃる通りで、「まとめノート」では必要ないと思った節の情報を削ぎ落しているので、「板書ノート」より「まとめノート」のほうが圧倒的にページ数が少ないんです。

 こちらの『連続アルゴリズム』の「板書ノート」は全部で25ページほどあったのですが、「まとめノート」では5ページまで短くなっています。

西岡:必要最低限まで削ぎ落しているということですね。それは、それだけ思考がスッキリ整理された状態でノートをまとめている、という証でもあります。

米田:試験は、重要なことだけ覚えていれば対応できますから。そして板書や、あるいは参考書、学校でもらうプリントなども、1ページの中に重要じゃないことが半分ぐらいは入っているものです。だから大抵僕の「板書ノート」は1科目30ページぐらいで、それが2~6ページの「まとめノート」になることが多いですね。

 1000枚ぐらいのスライドのときも、普通にページ数に換算したら100ページぐらいになりますが、僕は5ページぐらいにまとめてしまいます。

西岡:そうすると、理解が進んでいないときに作った「まとめノート」はページ数が多くなったりするのですか?

米田:事前に知識を整理してから「まとめノート」を作るので、そういうことはほとんどないのですが、たしかに『計算機システム』という科目はあまりついていけていなかったので、過去最大の8ページの「まとめノート」になりました。

西岡:お聞きしていると、つまり米田さんは、ノート作りそのものを勉強の根幹に置いているということですね。そして「まとめノート」がそのゴールになっている。

 僕の『ノート術』の理論はまさにそこにあるのですが、こんなにも僕が唱えている『東大ノート術』を具現化しているノートは見たことがなかったので、ちょっと感動しています。

米田:そんなふうに言っていただけて光栄です。

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