また、厚生労働省の調べで、ヒートショックによる死亡者数は年間1.9万人に及ぶと推計されている。その当時の死亡者数の約1.5%に相当し、冬場の風呂場で高齢者が発症し、帰らぬ人になることが多い。

 発症のメカニズムは、他の部屋よりかなり寒い風呂場で裸になり、熱いお風呂に入ることで、血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすことによる。予防法としては、脱衣所やお風呂場と他の部屋との気温差を少なく保つことだ。このヒートショックをなくすだけでも、高齢者は寿命を3年ほど延ばすことができる計算になる。

「省エネ」と言うと、光熱費が下がる、地球環境に貢献すると捉えられがちである。しかし、自宅の断熱性能などは自分の健康と生死にかかわる話と捉え直した方がいいと、私は考えている。

家の「空気」は選べない
自分で作り出すしかない

 人は1日に約2万~2万5000回呼吸している。1日の呼吸量は重量に換算すると約20キログラムになり、食事や水の比ではない。また、飲食物は選んで口に入れることができるが、空気は目の前にあるものを選ぶことなく吸うしかない。それならば、自分の家の空気の質は自分で作るしかないのだ。

 そうした断熱リフォーム会社選びは、(1)家に近いこと、(2)補助金に明るいことが条件になるので、「市区町村名 窓リノベ リフォーム会社」で検索してみよう。見つからなければ、スタイルアクトが運営する「住まいサーフィン」の会員に紹介することもしている。その補助金が潤沢な今のうちにやっておくに、越したことはない。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖有人)