昭和世代と若者で
善悪の基準そのものが異なる

 そしてこの20世紀の思想は、私のような昭和のおじさん世代に強固にしみついてしまった社会規範でもあります。40代以上のいわゆる平成世代もどうでしょうか?少なからず同じような感覚を持っているのではないでしょうか?

 一方でこれは主にインターネットが原因だと思いますが、21世紀に入って大衆社会は個人優位の社会に変わります。

 そして善悪の基準が「多様性の時代には少数派を不快に感じさせる行動も悪だ」という思想へと進化します。

 ここは正直、細部に異論があるところではありますが、現代社会では賛否両論が起きるたびに「あなたを不快にさせたことについてはお詫びします」と言わなければならない状況が頻発します。

 そこで、退職代行です。

 20世紀の善悪を基準にしている側から見れば社員が退職代行を使って会社を辞めていくのは「他の社員と違う行動でマナーが悪い」と感じますし、21世紀の善悪を基準にしているZ世代の側から見れば「そういうことを平気で言うおじさん世代管理職の考えが不快だ」ということになります。

 おじさん世代にとって残念なことは、時代は多様性に向かっています。

 他と違って何が悪いのだと言われる時代に「人としてそのやり方はおかしい」という心の叫びは通用しなくなり始めているのです。