2人の子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

小学生ともなれば、兄弟げんかの内容は複雑化していく。時には、殴り合いに発展して、ケガを負ったり負わせたりするケースも。そんなとき、片方を一方的に責めずに、体の暴力や言葉の暴力は絶対にいけないことを伝えるにはどうしたらよいのか。本稿は、西村 琢『だから声かけ、話し合う 親と子の気持ちいい関係をつくる 「やってみた」と「話してみた」』(東洋館出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

同じようなけんかの再発防止のため
「けんかの火種」に名前をつける

 小学生同士ともなると、これまでのおもちゃを取った・取られたのようなことから、けんかの発端も展開も変わってくるものです。長男がドアを開け放しであることを次男が指摘する。次男がゲームの時間を超過していることを長男が指摘する。

 その指摘を受けて「そんなこと言うならそっちだって」と応酬し、事が大きくなる。

 一般的にはわかりませんが、少なくとも我が家ではこういうシーンが割と多く見られます。

 一度、それがきっかけで大きなけんかに発展したことがあり、もちろんその時、事態の収束を図るべく時間をかけて話し合いを行いました。20~30分も話せばお互い気持ちも落ち着き、それぞれ反省すべき点があったことも受け入れられるようになる。そして互いに謝る。ですが、こちらの気持ちは落ち着きません。またすぐ似たような原因で同じようなトラブルが起きないとも限りませんし、そうなると、また骨が折れます。

 何か再発の確率を下げられるようなアイデアはないか。そこで試してみたのが「けんかの火種に名前をつける」です。たとえば「兄弟同士の挙動を指摘し合うこと」に名前をつけて、今後その兆しが見られたら、その名前を呼び合うことで注意を与え合う。

 ちなみに私たちの場合は、これを次男の発案でウルトラソウルと呼ぶことにしました。正直言うとイマイチな名前だと思っています。ですが以前のトラブル時、おおむね収束してみんな笑顔になって、では戒めのためにこれを名づけようとなった際に次男が出してきたアイデアなので即採用としました。

 似たようなトラブルはその後も起きています。ですが、そんなとき「それ、ウルトラソウルじゃない?」と言うことで我に返り、ある程度の抑制が効いているように見えるので、一定の効果はありそうです。