今、学生や転職者から最も人気の就職先の一つがコンサルティング業界だ。数多くの志望者の中から、一握りの有望な人材を見抜くために、この業界にはフェルミ推定やケース面接と呼ばれる独特の入社試験がある。新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームで実際に出題された問題を集め、現役で活躍するコンサルタントに解答してもらうことで、コンサル流の思考法をノウハウとして凝縮した1冊だ。就活対策にはもちろんのこと、思考力のトレーニングにも最適だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋して紹介する。

【就活生必見】「全国の歯みがき粉の年間使用量を推定せよ」コンサル面接を攻略するたった1つのシンプルなコツPhoto: Adobe Stock

フェルミ推定とは?

 まず、「フェルミ推定」とは何でしょうか。

 フェルミ推定とは、「一見予想もできず捉えどころのない未知の値を、いくつかの手掛かりを使って論理的に推論し、短時間で概算すること」です。

 実際の面接では、

「日本にあるコンビニの店舗数は?」
「シャープペンシルの市場規模は?」
「タピオカドリンク店の売上は?」
「今、この瞬間に宙に浮いている野球ボールの数は?」

 といったさまざまなフェルミ推定問題が出題されます。

 すなわち、フェルミ推定問題では一般常識として即答できる数値ではなく、なんだかよくわからない、漠然とした未知の数値を短時間で論理的に概算しなければなりません。

 論理的思考力や数的処理能力、説明能力などの総合的な「地頭力」がフェルミ推定には求められるのです。

 そのため、フェルミ推定問題はコンサルティングファームの採用選考において最頻出問題なのです。

「わからない数字」を「わかる数字」に分解する

 では、私たちはこの厄介なフェルミ推定問題にどう取り組めばよいのでしょうか。

 実は、フェルミ推定の要点はシンプルで、「わからない数字をわかる数字に分解すること」が肝になります。

 すなわち、感覚的に予想しづらい未知の値を自分の経験や知識で推定可能な値へと分解して計算すればよいのです。

 たとえば「日本全国の歯みがき粉の年間使用量を推定せよ」と出題されたとしましょう。

 このとき、全国の歯みがき粉の年間使用量は求める数値があまりに大きく見当もつかないので、これを

 日本全国の歯みがき粉の年間使用量
 =[1世帯の1ヵ月の歯みがき粉使用量] × [日本の世帯数] × 12カ月

 と分解してみます。

 そうすると、1世帯の歯みがき粉使用量については、

「だいたい、我が家では月に1本くらい歯みがき粉のチューブを交換しているかな。あのチューブって100グラムくらいの量だから、1年(12ヵ月)で1.2キロの歯みがき粉を使用していることになるな」

 などと自身の経験から導出でき、日本の世帯数については、

「日本の人口はざっくり1.2億人。世帯平均人数を3人とすれば、1.2億人÷3人で4000万世帯くらいなのかな」

 と想定できるようになります。

【就活生必見】「全国の歯みがき粉の年間使用量を推定せよ」コンサル面接を攻略するたった1つのシンプルなコツ『外資系コンサルの入社試験』より抜粋

 このように、「わからない数字をわかる数字に分解すること」によって、

 日本全国の歯みがき粉の年間使用量
 =[1世帯あたり月0.1kg] × 4000万世帯 × 12ヵ月
 =4800万kg(=4.8万t)

 と推定することができるのです。

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)