今、学生や転職者から最も人気の就職先の一つがコンサル業界だ。数多くの志望者の中から有望な人材を見抜くために、この業界にはフェルミ推定やケース面接と呼ばれる独特の入社試験がある。一握りのチャンスを掴む内定者は、面接でどんなことを話しているのだろうか。
新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームで実際に出題された問題を集め、現役で活躍するコンサルタントに解答してもらうことで、コンサル流の思考法をノウハウとして凝縮した1冊だ。就活対策にはもちろんのこと、思考力のトレーニングにも最適だ。本稿では「面接での話し方」について本書から抜粋して紹介する。
選考突破者に共通する話し方「3つのポイント」
フェルミ推定問題やケース面接問題の双方において、「コミュニケーション能力」は重要な評価ポイントです。
経営コンサルティングの仕事は自分1人では決して成し遂げることはできず、クライアント企業の経営層や各部署の責任者や担当者、プロジェクトチームのメンバーと協働することで最大限の成果を実現していきます。
したがって、経営コンサルタントには、問題を発見し、解決策を導いていく思考力だけでなく、他者との信頼関係を築き、連携を深めていけるようなコミュニケーション能力も求められます。
ここでは、優秀な選考突破者に共通して見られる話し方のポイントを3つ紹介します。
ポイント1:
長々と話さず、面接官とのキャッチボールを楽しむ
選考突破者は自分の発言を短く区切り、面接官に、適宜質問を投げかけながらディスカッションすることを心がけています。
冒頭に思考時間がある場合であっても、最初の発言は長くても3分、出来れば2分以内で終えて、その後の面接官とのディスカッションや質疑応答をとおして提案内容を磨き上げようとします。
一般的に、面接官は志願者の話を途中で止めるようなことはしません。志願者の話が長ければ、それだけ質問や確認したい点を整理しておき、話が終わったところでコメントを行います。
見方を変えれば、膨大な情報を志願者から投げられ、それに対して面接官が複数の質問や確認を投げ返すという、キャッチボールではなく「ドッジボール」のようなディスカッションになってしまいます。
テンポの良いキャッチボールができれば、問題の認識を合わせながら、面接官からのコメントや質問を踏まえて、重要な視点を落とさずに提案内容を磨けるでしょう。
面接官としても志望者の思考を適切に理解しながら、確認や質問をすることができるため、評価しやすくなります。
ポイント2:
面接官による質問の意図を確認し、建設的議論を心がける
選考突破者は、面接官とのディスカッションや質疑応答をとおして、自分の思考をさらに広げ、深めることができると考えています。
自分の仮説や提案内容はもっと良くなると確信しているため、面接官からの質問に対しても反論する(=自分の仮説や提案内容を固持する)ようなことは決してしません。
面接官から自分が全く考慮していなかった視点について質問や確認がなされたときなどは、面接官がどのような意図でその発言をしているのかがわからなくなりがちですが、選考突破者は必ずその意図を面接官に確認し、正確な理解にもとづいて適切な回答を行っています。
面接官からの質問やコメントを正確に理解し、建設的な議論をとおして自分の仮説や提案内容をより良くしようとするコミュニケーションを実践しましょう。
ポイント3:
論理的思考×情熱的態度で高い人間性を見せる
選考突破者は、論理的に物事を考える冷静さと、問題を何とか解決したいという情熱を兼ね備えています。
面接官はコミュニケーションをとおして、志願者の思考力と人間性の双方を評価しています。新卒も中途も関係なく、「この人は、仲間を率い、顧客の心を掴める人間だろうか」と見ているのです。
したがって、論理的に話すことを意識しすぎて、黙ってしまわないようにしましょう。本書における選考突破者の回答例にも共通していますが、すぐに答えを出そうとせず、問題を適切に理解し、その深層へと段階的に思考を深めていけば大丈夫です。
面接官とのキャッチボールを楽しみながら、多少粗削りであっても問題解決に向けた強い想いをもって検討の切り口や方向性を捻り出せば、面接官も適宜フォローアップしてくれるでしょう。
(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)