この20年で韓国の物価は2~3倍に!
1100円以下でランチを食べるのは難しい

 野菜や果物だけでなく、この20年で韓国の物価は全般的に軒並み2倍、ものによっては3倍以上になっている。それでも数年前までは公共交通機関の料金と飲食代は日本よりも安いと言えたのだが、それもコロナ禍による社会生活の制限の長期化による影響で断続的な値上げが続いており、今や韓国で日本より「安い」と言えるものは何だろうかと考えてしまう。

 外食やデリバリーの高騰も、頭の痛い問題である。韓国では社員食堂を持つ企業以外は、交通費に代わり昼食代を支給する企業が古くから一般的であった。しかし、ここ数年で飲食代が急激に高騰したことにより、企業が昼食代の支給を見直す動きがあったり、「受給される額では1カ月の昼食を賄えない」といった声が上がったりしている。かつては街中の食堂で1万ウォン(約1100円)もあればお腹いっぱい食べられたものが、今ではそんな店は貴重であり、ファストフードや、海苔巻きやトッポギといった「粉食」と呼ばれる軽食の店ですらも「手頃に」という感覚ではいかなくなっている。

 2000年初めの韓国の物価の一例を挙げると、キンパッ(韓国風海苔巻き)は1本1000ウォン(当時の為替レートで約100円)、都市の地下鉄運賃は一区間600ウォン(同、約60円)、タクシー初乗り2000ウォン(同、約200円)といった感じだった。しかし現在ではキンパッも3000ウォン(現在のレートで約340円)で食べられれば良い方で、地下鉄やタクシーも2倍以上の料金上昇となっている。

値上がりだけでなく、
飲食店の質が低下しているのでは?

 値段が上がっているだけでなく、質についても問われている。外食やデリバリーの質の悪さを指摘する声をSNSなどで見かけたり、飲食店でのトラブルを耳にしたりということも多くなっている。

 先日、済州島のある有名店でサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)を食べに行ったところ、脂身ばかりの肉を出された。店側に苦情を言うと「いちいち対応できない」などと軽くあしらわれたというトラブルがニュースになった。これをきっかけに、全国各地の焼肉店で似たようなできごとに遭遇したと告発するSNS投稿が相次いだ。また、飲食店にデリバリーで注文して届いた商品が、量や内容などが写真とあまりにも違い過ぎるといった訴えも見かける。残念ながら、値段に反して質の悪い店が存在していることが否めない。

 もちろん、SNSの投稿の内容をすべて鵜呑みにするものではないし、経営者側も言い分はあるだろう。このご時世に店を切り盛りしていくことが厳しいことも想像できる。しかし、あまりにも消費者を軽視した悪質なものは摘発されるべきだし、外国人がこのようなことに遭遇すれば韓国の恥をさらすことにもなる。物価高騰に加え、飲食店の質も低下、こうした事態がやがては外食離れにつながっていくのではないか。