「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回インタビューするのは、FIDIAのグループ会社AsFineで代表取締役を務める吉田誠司氏。吉田氏は著者の森氏と共に数々の事業の立ち上げに関わり、現在は障がい福祉事業を任されている。そんな吉田氏は『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回は、仕事で失敗してもなぜか楽しそうな人の「たった1つ」の考え方を聞いてみた。
環境が障がいに与える影響
――障がい者を支援する中で、なかなかうまくいかないことは何でしょう?
吉田誠司(以下、吉田):うまくいかないことはたくさんあります。
たとえば、支援している利用者の方が自信をつけて家に帰っても、翌日になると自信をなくすことがあります。
ご家族から障がいに対する理解が得られず、苦しんでいる方もいます。
世代間の価値観の違いからでしょうか。親御さんから「早く結婚しなさい」などのプレッシャーをかけられてしまう場合もあります。
取り巻く環境により障がいが悪化したりよくなったりするので、環境はとても大事なのですが、職場以外の環境に対する支援が難しいですね。
――環境の影響で障がいを抱えてしまう方もいるんでしょうか?
吉田:はい。AsFineの利用者はうつ病などの精神障がいを抱えている利用者さんが多いのですが、環境の影響でうつになってしまう人もいます。
持って生まれた障がいが原因でうつになる人もいるので、支援する僕たちにもわからないくらいいろいろな人がいます。
たとえば、就職氷河期世代の利用者の方だと、親御さんが団塊世代なので、「結婚して子どもを育てて一人前」という価値観が刷り込まれていたりします。
そのため、氷河期世代の利用者は、結婚していないというだけで幸福感を持てずにいる人が大勢します。
最近では、あえて結婚しない人も多い。結婚しなくても幸せになれる時代なので、そういった方には「無理しなくても大丈夫」というメッセージを伝えています。
失敗を恐れないことが大切
――うまくいかないことも多いと思いますが、吉田さん自身はどうやって気持ちを切り替えているんでしょうか?
吉田:たとえば就労支援の場合、こちらがどんなに頑張って支援しても実を結ぶのは10%もないことがあります。
重度の障がいで働けない人や、生活がままならない人のための事業ですから、うまくいかなくて当たり前という気持ちでやっています。
最初から期待値を下げているので、とても楽しいです。
――肩の力を抜いてやりつつも、結果がついてきていて、何をやってもうまくいきそうな状態ですね。
吉田:僕は今までFIDIAでたくさんの事業に挑戦してきて、失敗も多かったんです。
「うまくいかなくても俺だからな」と思えるぐらいまで、自分のカッコ悪さを認められるようになってから、不思議とうまくいくようになりました。
「うまくいかなくても大丈夫」という失敗を恐れない姿勢は、障がい者支援をするうえでも、事業を成功をさせるためにも必要な姿勢だと思います。
――頑張っても結果が出ないという人は、肩の力を抜いてみるのも大切かもしれませんね。
吉田:そうですね。失敗を恐れないようになると、まわりの失敗を許すこともできるようになります。
『スタートアップ芸人』の中にも、失敗に対する向き合い方が書かれています。
頑張っているのに結果が出ない人や、失敗で悩んでしまう人に参考になると思います。