AIを使いこなしている人の特徴
尾原:二極化する中で、澤さんから見て「使いこなしている人」の特徴はありますか?
澤:デジタルを「道具」として見ているんだけど、「自分の手足の拡張」として使っていこうと思っている人たちなんじゃないかなと。要するに、ちゃんと対峙していない人です。
例えば、ITリテラシーが高い人、IT業界が長い人の中にも、「Googleさん、僕のためにもっといいソフトを作ってよ」「Microsoftさん、僕の考えをちゃんと再現できるソフトウェアにしてよ」と、対立軸で考えている人がいるんですよね。
一方で、「何をするのか」と自分中心で考えて、手足をより遠くに伸ばしていく感覚でデジタルを見ていた人は、一気に使いこなします。それは、「今までできなかったことができるようになる」「より早くできる」「遠くまで行ける」といった感覚で捉えるからです。
デジタルを、自分主体で「パートナー」として見ていたのか、自分と対立軸で「道具」として見ていたのか。このマインドセットの差が大きいんじゃないかなと思いますね。
伊藤:それはある意味、メタ思考だなと思いました。目的があって、そこに向けて歩いている。目的を叶えるためにはいろんな手段がある。その手段の1つとしてChatGPTがある。
「自分の目的に対してこうやって使えば、こうなるよね」と、常に俯瞰して見ている人は、当たり前のようにChatGPTを使って、自分の目的を叶えるために最適化していくことができる。
だけど、「ChatGPTが来た! これは使えそうだ」と言ってそこだけを見ている人は、自分の名前を検索して終わってしまう。近視眼的に見るか、俯瞰して見るかの差があるかもしれませんね。
澤:インターネットや携帯電話が登場した時も、同じようなことが起きていたと思うんですよね。対立軸で考えて使うのか、「自分がやりたいことに対して、どう役に立つか」を考えて使うのか。その見方の違いは、当時からありました。
ただ、インターネットにしても、携帯電話にしても、インフラなんですよね。「ド・インフラ」なので、浸透するまでに時間がかかりますし、環境が整っていなければ使いようのない部分があります。それがインフラの特徴だと思うのですが、ChatGPTはサービス化されているので、すぐに使わなければ差は開く一方です。