澤:2年前、Midjourneyが登場した時に、尾原さんと「これは閾値を超えたね」というお話をしたと思います。そして、半年も経たないうちにChatGPTが出てきました。そのやり取りを見て、かなり衝撃を受けたんですよね。
同時に、「この操作って、もしかしたら伝わりにくいかも」と思ったんです。
尾原:はいはい。
澤:「検索と何が違うの?」と思う人がけっこういるだろうな。でも、これはすごいことになるなと思っていたら、あれよあれよという間にAPIとして公開されて。
Azureから直接呼び出せるようになったりOfficeに組み込まれたりと、一気に実装が進んできたので、これは大変なことになったなと思いました。
ChatGPTがおもしろいのは、UI(ユーザーインターフェース)がほとんど変わっていないところです。「ふだん見ているブラウザだから、変化は感じにくいかもしれないな」と。
尾原:なるほど。
澤:僕はエバンジェライズしていくのが仕事だから、「うまく伝えていかないと、二極化がめちゃくちゃ加速するな」という危機感があったんです。
尾原:二極化ですね。
澤:まさに本に書いてある「『ChatGPT使えねぇ』って舐めてない?」って、今でも言っている人がいるわけじゃないですか。少なくとも、「俺的にはイマイチ」と言っている人たちは、マズいですよと。
尾原:例えば、YouTuberの方が自分の名前をChatGPTに入れて、「俺の解説、ぜんぜんできないじゃないか」というのはよくあるパターンですよね。
伊藤羊一氏(以下、伊藤):インターネットが登場した時も、まったく同じで。「インターネットなんて使えねぇ」と言っている人がたくさんいましたが、そういったバイアスをかけて見る人が一定割合いるんだなと。
澤:そうですよね。
尾原:ChatGPTは中身がめちゃくちゃ変化しているけど、入力欄が「窓」だから、検索してしまいたくなります。
ふだん使っているMicrosoftのOfficeとかに組み込まれるから、「やりたいことのサポーター」といった認識で使ってしまう。その二極化が起きるんじゃないかということですよね。
澤:そうです。UIの部分が、従来の機能の拡張のように見えてしまうんですよね。強力なエンジンが生み出されて、しかも今は「ChatGPT」「Gemini」「Claude 3」と、3つ同時に使える状態になっているじゃないですか。
「似たようなものがたくさん出てきたからソフトウェアの一種なんだろうな」と思ってしまうレベルで、急に伸びてきたと感じているんですよね。
尾原:なるほど。
澤:これだけ使いやすい、ハードルの低い状態で出てきているのはいいことなんだけど、二極化が進んでいったあとが心配ですね。
そして当然ながら、悪いことをする人たちのほうが使いこなすんですよ。その対策が後手に回るのが怖いなと思いますね。