自分の特性を踏まえた行動をとろうとすると、その行動は自然にたった1つに定まるという考えは単純すぎます。ハヤブサが海辺の崖や山脈に住まうことも、大都市に住まうこともできるように、衝動は、複数の適応先を潜在的に持っているものです。それに気づくことができるかはさておき。そして、そういう複数の選択肢や、また別の可能性に気づけるように、偏愛をそのままにせず、いくらか抽象化する(=解釈する)ことが大切だと論じてきたのです。

 要するに、ある衝動は、求めている楽しさが損なわれない限りで意外なほど多様な仕方で横展開することが可能です。「二次創作的な物語制作」を偏愛しているからといって、物語制作者になる必要はないように、ちゃんと偏愛を解釈することができれば、自分がフィットする場所を色々なジャンルや対象に見つけることができる。