マットレスは基本的に、値段が高くなるほど詰め物が増えてふかふかになっていく。“高級”と称されるほどのマットレスはほどよいクッション性に加えて素材、仕組み、研究などにコストがかけられているため、寝心地も比例して良くなる(はず)である。

 また、有名なメーカーのものであればブランドに信頼感があり、その点もユーザーにとってメリットとなる。なんでもそうだが、製品利用時のユーザーには「気持ちの問題」という領域があって、たとえひとつの同じマットレスでもクオリティを疑いながら使うより、身も心も委ねられて使った方が睡眠の質は良くなるはずだからである。

 近年の“高級”マットレスは、「ひたすら高級素材を使っています」というゴリ押しムーブではなく、人間工学を駆使した叡智の結晶然としたものが多く見られる。下記はその一部の例である。

 最高級ベッドメーカーSealyの「MASTER PIECE」というシリーズでは(約30万~75万円)、睡眠中の血流をよくするためにゾーンをいくつかに区切り、素材を分け、それぞれウレタン(枕・つま先あたり)、低反発素材(肩・脚あたり)、ジェルラテックス素材(腰あたり)を使用している。

 大塚家具と米国の老舗ベッドメーカー・キングスタウン社が共同開発したブランド「レガリア」の最高峰マットレス「ザ・グランレガリア」(約170万~300万円)は、コイルや繊維などがなんと14種類もの層となって構成されている。何しろシンプルでスタイリッシュな公式サイトに「至福の眠りの極み」と書いてあるくらいであって、二重表現のように思えるのだが、製品の質の高さを伝えるためには自ずと二重表現になってしまうほどものすごい寝心地なのかもしれない。

 これらは極上の寝心地を保証する説得力とブランド力、見た目の高級感、そして有名ホテルへの納品実績などを兼ね備えている、紛れもなき“高級”マットレスであり、マットレスの進化系統として王道と言えるものである。

大トレンドの人間工学的アプローチ
かくして睡眠は科学される

 人間工学的アプローチはマットレス業界の大トレンドとでもいうべき潮流で、“高級”とまで称するには至らなくとも、多くのマットレスがある程度「人間工学的にここが優れている」というセールスポイントを備えている。ニトリの約7500円のマットレスでさえ「体圧分散」がうたわれている。