ベンチャー企業による「ブレインスリープ」というブランドのマットレス(約9万円~)では、NASA提唱の中立姿勢をサポートする作りらしく、人が宇宙空間に浮いている状態を再現する「独自の三次元構造体」が用いられている。「NASA提唱で、独自の三次元構造体」と聞くとものすごく複雑な造形が思い浮かべられるだろうが、実際一見すれば脚の部分が一段高くなっているだけであり、人間工学的アプローチで一点突破しようとするブランドの気概がうかがえる。
西川は大谷選手
スポーツ選手を起用する業界トレンド
国内老舗メーカーの西川は、「最新の睡眠科学を取り入れた」とされるシリーズ「エアー」(マットレスは約5万円~)を展開していて、デザインも従来のマットレスとは一線を画し、スポーツシューズのような見た目をしている。
大谷翔平選手が西川の枕とマットレスで寝ているから大活躍しているともっぱらの噂だが、西川のサイトに大谷選手の画像が載っているので、イメージキャラクター的な関わり方をしているようである。
なお、スポーツ選手が寝具関連のイメージキャラやアンバサダーに起用されるのは業界のひとつのトレンドで、先述の高級メーカーSealyでは元プロ野球選手の斎藤佑樹氏と男子7人制ラグビー日本代表の丸尾崇真選手が、寝具大手のテンピュールでは同社製品を20年以上愛用しているという元プロ野球選手の松井秀喜氏が、それぞれ製品の良さを伝える役を担っている。
空気や水を循環させて寝心地に貢献
マットレスの新しい地平を切り開く
次に紹介するのは、既存のテクノロジーをマットレスと組み合わせることでマットレスの新しい地平を切り開いている亜流的な最先端である。
「テコリア」というマットレス(約13.5万円~)は、マットレス内部に空気を循環させる機能を持つ意欲的な製品である。温風を送って温めたり、送風して涼しくしたりと温度コントロールの一助を担うほか、マットレス内の換気によって熱や湿気を外部に逃がす働きもする。また、高温風を送る「布団乾燥・ダニ対策モード」なるものもあり、手入れが面倒になりがちなマットレスに文字通り新しい風を吹かせている。
循環させるのは風だけにあらず、水も循環すれば睡眠の一助となる。温水を循環させて寒さと乾燥対策となってくれるものや、水を循環させてひんやりさせるものもある。これらは分厚いマットレスというより、シート・マットのような製品が多く、価格も1万円台からあって求めやすいのが特徴である。