人生の3分の1は布団・ベッドで過ごす
デジタルが押し上げる「睡眠の質」

 最後に紹介するのは「デジタルマットレス」とでも称すべき製品の一郡である。

 一部を電動で動かして睡眠や起き上がりやすい姿勢をサポートするマットレスも珍しくなくなってきたが、もう一歩進んだものでは、そこにモニター機能が追加されたりしている。

 パナソニックと西川が共同開発した「快眠環境サポートサービス」は、西川のセンサー搭載マットレスでユーザーの状態をつぶさに計測し、睡眠の質を高めるべくエアコン、照明、音楽などが入眠から起床まで自動で操作・調整されるものである。このサービスは昨年3月に終わってしまったが、今パナソニックは「エオリア スリープ」という、自動空調コントロールの寝室用エアコンを販売しているようである。

 NEWPEACEというブランドの「動きで眠る」と銘打たれた「AIモーションマットレス」(約30万円~)は、入眠や起床をサポートするべく頭や脚の部分がモコッと持ち上がってくる「無重力モーション」なるものが目立つ特徴だが、ヒーターによる温度変化や睡眠時の状態の記録が行われ、それらを専用アプリで振り返ることなどができる。「現代のサポート」として思いつくものがおよそ詰め込まれたようなIoTマットレスである。

 マットレスの寿命は一般的に5~10年と言われている。一度設置してしまうと動かすのが手間に感じられる巨大さであり、ピンキリあるとは言え、どれもポンポン買えるような価格帯のものでもないので、なかなか買い替える決心がつきにくいのだが、「人生の3分の1は布団・ベッドで過ごす」と聞かされれば(多くの寝具メーカーがこのフレーズを使っている)、まんまと「少し検討してみようか」という気にさせられる。

 何も最先端が至上というわけでもないが、その業界の人たちのその時代の努力が見られるのはいつも興味深く面白いものである。マットレス買い替えの際に当記事が一助となれば幸いである。