これが近年多い「閉店ラッシュ」の基本パターンだ。つまり、「模倣」で成り立っている日本の飲食業界において、「閉店ラッシュ」などちっとも珍しい話ではなく、「平常運転」と言って差し支えないほどのありきたりな現象なのだ。
「いやいや、確かに人気店をパクった店がたくさんできて、ブームが去って閉店していくという流れもあるけれど、昔はここまでの閉店ラッシュはなかった。やはりコロナ禍の影響や、事業支援が足りていないのでは」という感じで、「閉店ラッシュ」を何かしら経済問題に結びつけたい人もいるだろう。
消費者がすさまじい勢いで減る
「ジリ貧」日本の憂鬱な現状
ただ、そんな難しい理屈をつけなくとも、日本のあらゆる産業で「閉店・廃業ラッシュ」が起きていることは簡単に説明できる。消費者が凄まじい数で消えているからだ。
ちょっと前まで、日本は鳥取県の人口(55万人)と同じ数だけ人口が毎年減っていくと言われていたが、この減少幅も年を追うごとに増えている。総務省が4月に発表した人口推計では、2023年は前年よりも59万5000人減った。これは埼玉県川口市や鹿児島県鹿児島市の人口が消えたのと同じだ。
このように急速に人口が減っていけば当然、「消費者」も減っていく。客が減れば売り上げは落ちる。利用者が減ればサービスも縮小していく。購入する人が減るのだから店も減っていく。すべてビジネスとして当たり前のことだ。
だから、自動車メーカーなどの製造業は海外に活路を見出している。輸出産業もそうだ。しかし、そうではないサービス業などはそれができない。外国人観光客など「海外の消費者」をターゲットにできるところは別だが、日本の消費者を相手にしているところは基本、何をやってもジリ貧になることが見えている。かつては全国津々浦々あったコンビニやファミレスの店舗網が縮小されているのは、この未来を見据えているからだ。