使える技術を身に付けるということが重要になるが、学校ではあまり使える技術を教えてもらえないこともある。よく情報収集し、本当に使い物になる技術に、時間とお金を投資することが大事だろう。もちろん、本人の興味も重要だ。興味が全くない分野をやっても、なかなか成果が出ないことが多いからだ。

(5)販売、営業系
 特別な技術や資格、経験もないという場合、営業や販売系の仕事も一つの選択肢だ。総じて、回避性の人は販売や営業に苦手意識をもっていることが多いが、意外にうまく行く場合もある。成功した例をみると、扱う商品やサービスに、特別な関心をもっているという場合だ。このタイプの人では、多趣味というよりも、一つの領域をじっくり深めるというタイプの人が多い。

(6)作業員(工場、倉庫、施設、現場、保守管理)
 専門の技能や経験もないという場合には、作業員として働くことも一つである。作業には根気よく黙々と取り組むので、適している面もある。ただ、こうした職場では、長年働いている主のような人がいたりするので、このタイプの人にとっては、少しやりづらい状況になる場合もある。しかし、そういった人々は口は少々悪くても、根はやさしく、親切なことも多い。回避性のような控えめな人には、むしろ親切にしてくれる場合もある。礼儀正しく、きちんと挨拶し、できるだけ愛想よくふるまうことが、うまくやるうえでの秘訣だろう。

 整理整頓が好きなタイプの人では、施設の保守管理や、物品の在庫管理といった仕事が向いている。対人関係も少なめで、仕事の守備範囲も明確なことが多いので、慣れてしまえば働きやすいだろう。

(7)研究職
 昔の研究職は、回避性の人にとって居心地のよい職場であり得た。しかし、今日、研究の現場は、常に成果を問われ、上からプレッシャーをかけられるのが現実である。さらに人前で喋らなければならない機会も多い。鋒舌鋭い質問や批判も飛んでくる。それが訓練になる面もあるが、ストレスからうつや心身症になる人も少なくない。

 自分の興味のある分野を研究したいという意欲がある場合には、とてもやりがいのある仕事となるだろうが、逃げ場所になるほど、今は気楽な仕事ではない。