親の口座は早めに把握
相続対策は口座から始めよう
森永氏の苦労は、誰もが経験する可能性があるものだ。この記事をきっかけに、まずは親の相続対策を始めてみてはいかがだろうか。現在全国的に金融機関は支店の統廃合が進んでおり、今後は金融業界全体の再編も考えられる。行名・支店名がわかるうちに、親子で口座の整理を進めよう。
口座の整理は印鑑の場所、通帳の管理などを見直すことにもつながり、年齢を重ねるとおっくうになる整理整頓を促す効果もある。印鑑や通帳の管理が甘いと判明したら、詐欺などを防ぐためにも子から親へアドバイスをするのも良いだろう。
40代からのエンディングノートで
「口座のミニマリスト」を目指そう
日本国内はもちろん、海外でも仕事をこなす管理職が多い40代は子育てなども忙しく、銀行口座の管理は二の次、三の次になっている方も多いだろう。しかし、多数の銀行口座を開設したままになっていると、相続時には家族が手続きに苦労する可能性がある。
たとえば、口座にあまり残高が無くても、カードが1枚見つかったら「残高があるのではないか」と家族が調べざるを得ない。森永氏も亡父の相続時に調査を進めた結果、苦労したにもかかわらず数百円しかない地方銀行の口座にたどり着き、ひどく落胆したそうである。
40代の人には、終活を目的とするのではなく、50代、60代を身軽に過ごすために「エンディングノート」を書き始めることがおすすめだ。エンディングノートは遺言書に比べれば「ライト」であり、公正証書遺言のように公証人や証人も不要で、誰でも・いつでも・ノート1冊から始められる。
学生時代に作った口座や、前の勤務先で使っていた給与口座など、今は使っていないが、解約もしていない口座があったらまずはノートに書きだそう。金融資産全体を見直すきっかけにもつながり、ノートがあることで家族に口座の情報を引き継ぎしやすい。
少額の残高がある場合は解約をゆっくりすすめ、「口座のミニマリスト」を目指そう。この機会に古い口座は、手数料が割安のネットバンキングに移行させたり、金利が高い定期預金に移行させたりしても良いだろう。