家族に知られたくない口座は
どのように管理する?
エンディングノートは金融資産の整理につながりおすすめだ。しかし、読者の中には「金融資産の在りかを家族に知られたくない」と思い、エンディングノートに詳細を記すことにためらう方もいるだろう。通帳やカードが不要なネットバンキングで家族には内緒の預貯金を保有している方も多いと聞く。しかし、ネットバンキングは通帳やカードがないため、相続手続きを遅らせることになりやすい。家族が口座を知る手がかりがないのだ。
加えて、パソコンやスマホで管理するネットバンキングは、契約者本人の死去後、パスワードという壁により、家族が口座の手続きに時間を要することがある。銀行口座であれば、パスワードはわからなくても相続ができるが、ネットバンキングの場合、デバイスのパスワードに阻まれてしまうのだ。ネットバンキングは便利で使いやすく、今後も拡大していくと考えられえるが、相続時には機密性の高さが思わぬ落とし穴となることを知っておこう。
また、遺産分割協議が終わったにもかかわらず、後からネットバンキング上の資産が見つかったら、再協議を余儀なくされる可能性もある。もしくは、誰にも相続されないまま、ひっそりと眠ってしまう口座になりかねない。たとえ今は知られたくない口座であっても、家族に「ヒント」を残すつもりでエンディングノートなどに記載しておくことがおすすめだ。
身近な預貯金口座は、相続時に思わぬ負担となってしまうことがある。預貯金口座は開設しても、なかなか解約には至りにくく、放置状態になりやすい。一説によると、現在、休眠口座は毎年1000億円も発生しているとされる。民間公益活動に有効活用されることは決して悪いことではないが、大切な資産を守りたいと感じたら、ぜひこの機会に口座を整理してみてはいかがだろうか。