大学入試でも出されるディベート問題
学校や予備校では対策しにくい

 もちろん、例に挙げた問題は、銀行などが大学生を対象に課すもので、高校生にはややレベルが高いかもしれない。

 とはいえ、国公立大学の二次試験、あるいは国公立や私立を問わず、後で詳しく述べる総合型選抜入試(旧AO入試)や学校推薦型入試では、課題を発見し解決策を問うような問題、そして、世の中の動きに対して是非を議論するディベート型の問題が出されている点は無視できない。

◇大学入試で出されてきたグループディスカッションのテーマ例
「被害者と加害者の実名報道の是非を、犯罪事件に関する報道の意義と関係を明確にした上で、論じてください」(2023年度 東京大学法学部)

「小学校の教科担任制導入は賛成か反対か、議論してください」(2022年度 千葉大学教育学部)

「自治体の住民参加に関して、より良い住民参加の方法を考えてください」(2021年度 香川大学法学部)

「日本の首都機能移転について、候補地と理由を話し合いなさい」(2023年度 日本大学危機管理学部)

「国家が婚姻を法的に制度化することについて意見を述べなさい」(2022年度 中京大学法学部)

「労働人口が減少する日本における外国人受け入れについて論じなさい」(2023年度 麗澤大学外国語学部)

 これらの出題の中には、文章を読ませて議論させるものもあるので、要旨を抜粋したが、学校や予備校では対策がとりにくいものばかりであるため、やはりここでも、家庭での日々のコミュニケーションが重要になってくると思うのである。

学生を選抜する大学側は
何を見て合否を決めているのか

 では、学生を選抜する大学側は、何を見て合否を決めているのだろうか。

◇大学側が学生をチェックするポイント
○受験している学部の研究領域に関する基礎的な知識
○リーダーシップ
○自分の頭で考え、それを分かりやすく伝える思考力や表現力
○違う意見への対応から見える多様性と議論を前に進めようとする協調性

 主にこういった点が挙げられるが、大学関係者を取材すれば、さらに別の判断基準も見えてくる。