狂乱バブル ホテル大戦争#13Photo by Masato Kato

ビッグ5と呼ばれる世界五大ホテルチェーンの一角、英IHGホテルズ&リゾーツのマネージングディレクターでIHG・ANA・ホテルズグループジャパン最高経営責任者のアビジェイ・サンディリア氏が、ダイヤモンド編集部のインタビューに応じた。サンディリア氏は「数年でホテル数を2倍にする」と断じるが、その真意は。特集『狂乱バブル ホテル大戦争』の#13では、サンディリア氏のインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

日本はホテル業界で
最もエキサイティングな国

――グローバルなホテル市場における日本市場の立ち位置は。

 歴史と文化がそれぞれ美しく、しかもコンパクトにまとまっており、ユニークな体験ができる国です。円安も追い風で、値段の割には非常に価値のある滞在が楽しめるため、外国人旅行客の人気が高まっています。世界で行きたい国ナンバーワンに日本が挙がるのも当然かと思います。

 日本はグローバルで3番目に大きいマーケットで、政府が2030年までに年間6000万人の訪日外国人旅行客を誘致する方針を掲げ、成長の段階に入っています。この勢いは数十年も続くとみています。

 そして、ビッグ5(米マリオット・インターナショナル、英IHGホテルズ&リゾーツ、米ヒルトン、米ハイアット ホテルズ コーポレーション、仏アコー)と呼ばれるグローバルなホテルオペレーターの日本におけるシェアは、5%しかありません。

 成長著しい日本において、まさに今はシェアを拡大するチャンス。こうしたことから、日本はホテル業界にとって非常にエキサイティングな国です。

――なぜこれまでビッグ5のシェアが5%にとどまっていたのでしょうか。

 歴史的に見て、日本の観光業はあくまで国内のお客さまが中心だったことが大きいと思います。日本人のお客さまは当然ながら、国内のブランドを好まれる傾向があります。数年前まで、われわれのような外資系ブランドは、限定的なマーケットであるラグジュアリーホテルでしかオペレーションができませんでした。

 政府が30年までに、年間6000万人の訪日外国人旅行客を誘致するというビジョンを示したこともあり、これまでのトレンドが変わってきています。ラグジュアリーからエコノミーといわれるものまであらゆるセグメントで、外資系ホテルの魅力があるという状況になっています。

――シェア拡大を目指しますが、どれくらいのホテル数を開発しますか?

 われわれは過去数年間において、日本でシェアを拡大できるということを実証してきました。20年1月から24年4月までの間、新規に15軒のホテルを開業しました。これにより、弊社が展開するホテルは32軒から47軒までに増えました。開発中のパイプライン案件は15軒に上ります。

 今後数年以内に、ホテルの数を2倍にしたい、つまり100軒に近い数字まで伸ばしたいと考えています。

――注力するカテゴリーは?