「他人と比べてつらくなる」「自分に自信がない」「無理して頑張ってしまう」……生きていると、誰しもそんな悩みや不安はいつの間にか溜まっていくものです。その中でも韓国文学には、K-POPの人気アイドルや人気俳優らも「救われた!」と絶賛する作品が多くあります。今回は、「つい悩んでしまう……」そんなあなたにおすすめの韓国文学5選を紹介していきます!(構成:ダイヤモンド社 秋岡敬子)
つらくても声に出せないあなたへ
私は人間関係で悩み、何かがうまくいかなくなると、一定期間、家に帰らなくなることがある。
そんなときに、必ず「話さなくてもいいから電話して」「壊れる前に言って!」と声をかけてくれる友人がいる。
彼女の言葉を聞きながら、ふと『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』の一節を思い出した。
無理せずゆっくり過ごすほうが人はさみしさから抜け出せるということに、彼女は気づいてやさしく見守ってくれているのかもしれない。
『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』は、「1ページ目から泣いた」「大切な人にプレゼントしたい」と口コミで話題となり、日本国内でも19万部を突破している。
人間関係、仕事など、誰もが直面する迷いや悩みに答えてくれるエッセイだ。
つらいときに声を出せないあなたに、きっと救いの手を伸ばしてくれるだろう。
自分のために生きることにしたあなたへ
自分の人生を振り返ると、いつの間にか名のある大学に進学し、名のある会社に就職しなければならないものだと思っていた気がする。しかし、なぜそう思い込んでいたのだろう?
国内で55万部を超えたロングセラーのエッセイ『私は私のままで生きることにした』に、こんな言葉が出てくる。
これは、飲食店でアルバイトをする人を見た母親が娘に対して言ったものだ。
母親にかぎらず、ネットや、友人間でそういった言葉をかけられると、人は無意識に他人に「正しい」と思われる選択を取ろうとする。
こんなとき、どう考えればいいのだろうか?
もし、自分が理想の姿と違う人生を歩み、それを恥じているのならこの本を手に取ってほしい。正解の人生なんてものはなく、私たちは自分が選んだ人生を正解にするしかないことが分かるかもしれない。
つい、頑張りすぎてしまうあなたへ
社会人になって1ヵ月も経たない頃だった。私はある日、ひどい腹痛になり、出社して5分で帰ったことがある。
今思えば、慣れない環境で過ごすことや、重なる歓迎会で力みすぎていたのだろう。
国内で20万部を超えるベストセラーの『あやうく一生懸命生きるところだった』にこんな話がある。
力んで失敗しても「転んだとしても何事もなかったかのように起き上がればいい。」(p.78)と言う著者の言葉が、とても心地よく感じる。
本書は、ついつい頑張りすぎてしまう人をユーモアと優しさで包み込んでくれるだろう。
誰かを傷つけ、誰かに傷つけられたことのあるあなたへ
短編集『わたしに無害なひと』には、人を傷つけ、時には傷つけられる女性が多く描かれている。
家族や親友など、大切な人のはずなのに距離ができたことはないだろうか?
傷つけられたと思っていても、時間が経って振り返ると実際は傷つけていたかもしれないと気づくこともあるはずだ。
本書では「無害なひと」であろうとして、知らず知らずのうちに他人を傷つけていた自らの残酷さに気付く瞬間や、その時の苦しい感情の揺らぎが穏やかに表現されている。
しかし、生きているとそういった感情は忘れられず、引き離せるものではない。
その中で傷つき、傷ついたとしても「どんなことをしてでも生きてみようと選択した方法だった」(p.133)という一文に背中を押してもらえる人もいるのではないだろうか。
「私は私のままでいない方がいい?」と悩んでしまうあなたへ
女性なら一度は体験したことがないだろうか?
女性なんだから、スカートをはいたほうがいいと言われたり、家事のほうが仕事よりもラクだと言われたり……。
ニュースや日常生活で違和感を感じると、私は必ず本書の言葉を思い出す。
「フェミニスト? わあ、やべー」(p.30)
彼女にとってはこんなにも当然なことが、僕たち男にはなぜ理解できないんだろう?(p.307)
『僕の狂ったフェミ彼女』では、別れたはずの彼女がフェミニストになって「僕」の前に現れる。
そんな彼女を元に戻そうと必死になる「僕」の奮闘劇が描かれている。
これらのセリフからも、男女によって見えるもの・認知している世界が実はまったく違うことが分かる。
しかし、女性が生まれ持った女性の権利や愛を主張することは悪なのだろうか?
そんな問いを投げかけながらも「自分が正しいと思う生き方で、誰もが幸せになってほしい」という著者の祈りが、ページをめくるたびに聞こえてくるはずだ。
いかがだろうか。
今回ご紹介した作品の中で気になるものがあれば、ぜひ夏休み、お盆休みに読んでみてほしい。
あなたの人生を変える1冊になるかもしれない。