ローソンがKDDIの株主になったことで
成城石井も「DX重視」に

 この戦略転換の背景には、ローソンの新たな株主となったKDDIを前提にした新戦略があるのだと考えます。

 ローソンは今年2月の発表で、本体の上場を廃止して三菱商事50%、KDDI50%の新たな資本構成に向けて株主の再編を推し進めています。

 戦略変更としてはそれまでの三菱商事による小売物流のケイパビリティを主軸にした戦略に加えて、新たにKDDIによるDXを優位性の軸に据える戦略へとアップデートした形です。

 その結果として、成城石井は分離するよりも、DXの力でさらに顧客接点を拡大する方がローソン陣営全体の利益を拡大すると判断したのでしょう。

 さて、このように成城石井とセブンプレミアムゴールドは、それぞれが類似したターゲットを狙いながら真逆の戦略を展開しているのですが、どちらが優位に戦略を展開できるのでしょうか。これは戦略家としては興味深い論点だと思います。

 そもそもの議論として、富裕層はどちらも利用するという側面はあると思います。富裕層の顧客はワインやチーズは成城石井で購入するでしょうし、同じ顧客がビーフシチューはセブンで「金のビーフシチュー」を買うだろうというのは当然、予想できる購買行動です。

 とはいえこの両社の戦略は、富裕層を切り口とした市場へのアプローチが異なるという点で、その展開の効果には明らかに異なる部分があります。そこをはっきりさせていきましょう。