(5)意欲創出型質問
質問でモチベーションを上げる

(4)が過去の事象にまつわる感情を掘り下げることが多いのに対して、未来に向け、相手のモチベーションを向上させるよう設計された質問だ。ポジティブな反応や解決策、行動を促す。目標設定や自己啓発の場面で有効である。

 例えば、チームメンバーのモチベーションを引き上げる場合、

「このプロジェクトのどの部分に最もワクワクしますか」
「どのような成果を達成したいと思いますか」
「どんなスキルを新たに習得したいですか」

 といった質問が役立つ。

 基本的に、相手の興味や関心に基づき、励ましにも似た前向きな言葉を使って、将来のビジョンや目標、目標達成や成功に焦点を当てるようにする。過去よりも未来に焦点を当てて聞くと、誰しもがいつの間にか、仕事に対する意欲を高めることができる。

 新卒採用のリクルーターをやっていると、学生から「〇〇さんが会社で実現したいことはどんなことですか?」とか、「会社は何を目指しているのですか?」などとたびたび聞かれるが、次第に、勝手に仕事への意欲が高まってくることがある。質問者の意図とは別に、これは学生たちから「意欲創出型質問」をたくさん受けたからだ。

(6)発想展開型質問
もし○○なら?

 創造的思考や新しい視点を促す質問である。類似点や対比、新しい可能性を探ることで、思考を広げ、新しいアイデアを生成するのを助ける。

「もし○○がなかったとしたらどうしますか」
「このアイデアを他の分野に応用するとどうなるでしょうか」
「逆の立場なら、どのような視点が考えられますか」

 有名なのはオズボーンのチェックリストだ。転用、応用、変更、拡大、縮小、代用、置換、逆転、結合などの項目があり、「サイズを大きくするとどうなるか」「色を変えるとどう見えるか」「この製品を他の用途に使うとどうなるか」などのリストに沿って質問し、答えを考えることで、自然と創造的な思考が促される。

 この質問では、制約を取り払い、自由な発想を奨励し、異なる視点やアプローチを歓迎することが重要だ。比喩や類似性を活用し、関連するアイデアを引き出す。現状を疑い、チャレンジ精神を刺激して、集団の知恵を活用するのである。