(7)本質直視型質問
シンプルに核心に迫る

 最後に、議論や問題の核心を見極める質問だ。表面的な話や具体的なディテールを超えて、本質的な問題や価値を探ることを目的とする。深い洞察や根本的な解決策を導き出す際に使いたい。

「このプロジェクトが最終的に達成しなければならないことって結局何ですか」
「いろいろありますが、つまるところ、この問題の根本原因は何だと思いますか」
「われわれにとって譲れない一線とは何でしょうか」

 複雑な言葉を避け、ストレートな問いを投げかけることで、細かいことに捕らわれて重要なことを見失っている集団が我に返る。よって、このタイプの質問は議論の始めではなく、内容を検討した後のまとめの段階か、議論が空中分解しそうなときに使用すると最も効果が上がる。話題の焦点を絞り込むことで、表面的な話から深い洞察を引き出すのだ。

 これまで多様な組織のディスカッションを見てきたが、上記のような質問のバリエーションをメンバーの誰もが当たり前に使える組織と、適切に使えない組織がある。当然、前者のほうが生産性は高い。

 だが、一般的に言えば、ほとんどが後者で、そういう会社では驚くほど質問の技術が開発されていない。リスキリングでプログラミングを習うのも結構だが、質問力を磨くほうがよほど生産性の向上に寄与するのではと思われる。

 まずは今回挙げた質問のバリエーションを認識し、試し、結果を見て反省し改善するというサイクルを進めるのがよいだろう。良い質問があったら、「その質問はよかったね」と褒め合うところから始めたい。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)