同一企業の社員から20件超の依頼も
退職代行「お得意様」の存在

 一般的には、大企業は中小企業よりも給与が高く、福利厚生も充実している。にもかかわらず、先述の比率では大企業が中小企業を上回ったのだ。その実態について、アルバトロスの谷本氏は「従業員数が1万人を超える大企業の社員からの依頼もある。特定の会社の社員から依頼が殺到するケースもある。同一企業内で20件以上の依頼がある会社は10社を超えている」と言う。

 1社で20件以上といえば、もはや常連だ。アルバトロスが退職手続きを担当した大企業には、名の知れた企業も含まれている。「道を歩いていると(看板や広告などで)社名を見て、ここも担当したな、あそこも担当したなと、誰もが知っている企業ばかり。そもそも依頼を受けていない業態はない」(谷本氏)ほど裾野が広がっている。

 退職代行サービスの存在は、要請先の企業にも認知されつつある。佐藤氏は「5年ぐらい前は我々から電話をかけると、『何それ?』という感じで、何が起こっているのか理解できない人が多かった。今では『退職代行さんですね』と言う企業が増えた。初めてやり取りする場合でも、他社のケースやメディアを通じて当社のサービスを知っている会社もすごく増えている」と語る。

 さらに「電話をかけると、『退職代行の方はこちらにお掛けいただければ対応いたします』と、退職代行専門の窓口を用意している企業もある」(谷本氏)とのことだ。
 
 では、実際に退職代行サービスを利用する人はどんな業種・職種に多いのか。2000人におよぶ依頼者の業種・職種を集計したデータを「退職代行Jobs」運営元のアレスから入手したので、その内容(トップ5)を特別に紹介しよう(データは2022年10月~12月の依頼件数を整理・集計したもの)。